RADIO MIKU

お互い許容し合える優しいセカイに。「初音ミク」生みの親の熱い想い

昨年リリースされ、10代から20代の女性を中心に人気の音楽ゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』。

8月15日放送のCBCラジオ『RADIO MIKU EX』は、このゲームの企画・開発に携わったColorful Paletteの近藤裕一郎さん、そして「初音ミク」の生みの親、クリプトン・フューチャー・メディアの佐々木渉さんへのインタビュー第3弾。
初音ミクをはじめとするバーチャルシンガーたちへの想いを、清水藍が尋ねました。

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近藤さんの思うボーカロイドの魅力

かつてボカロPとして活動した近藤さんに、バーチャルシンガーたちの魅力を尋ねる清水。

近藤さんが「そうですね…」とちょっと考え込む横で、佐々木さんがニヤニヤ笑っているのを見て、笑い出した清水。
佐々木さんは「初音ミク生みの親」。近藤さんも話すのに勇気が要りそうです。

近藤「(初音ミクたちへの)愛はすごく語れますけど。誰でもボーカロイドのキャラクターを使った創作ができるってことが、個人的には一番魅力的だと思います」

近藤さんは高校時代にバンドをやっていた時期があったそう。
当時音楽サイトにアップしていたものの、ボーカル入りの曲を作るには「自分で歌うか、誰かに歌ってもらうか。ハードルが高かった」と言います。

ソフトウェア「初音ミク」が発売された時は「こんな自然に歌うんだ」と驚いたそう。
楽曲は作れるけど歌い手がいないというクリエイターの悩みが大きく改善されました。

そして「初音ミク」の登場を機に「様々な人が曲やイラストをネットにアップし、モノを作るきっかけになったことが、昔も今も大きな魅力」と自身の体験を交えて語る近藤さん。
 

佐々木さんにとってのボーカロイド

続いて、「初音ミク」の生みの親と言われる佐々木さんはどうでしょうか。

佐々木「初音ミクやボカロの歌声が、お仕着せではなく『みんなのもの・みんなで楽しむもの』ってボカロは思われていると思うんです。
だから気軽に広がりやすいところもあるし、話題になりやすいところもありますよね」

「みんながフレンドリーにボカロに接してくれてるのは嬉しい」と言います。

佐々木「クリエイターたちが『曲を作ってよかったな』とか感じてくれる真ん中にバーチャルシンガーたちがいて。僕にとって近い存在でもあるけど、みんなの輪の中にいるちょっと遠い存在で。でも誇らしい存在でもありますね」

「思うところは山のようにあって、話しきれない」という佐々木さんの言葉に熱い愛情が感じた清水、思わず泣きそうになってしまいます。

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初音ミクは「様々な解釈があって許容し合える存在」

清水から「近藤さんにとって、初音ミクたちってどういう存在ですか?」という質問が。

近藤「誰のものでもないですし、人によって初音ミクの見方も違いますし。人によって様々な解釈があって、色々な方が許容し合っているのが他にはない文化だと思うんですよ」

近藤さんにとっても、他のクリエイターたちにとっても、替えのきかない存在だと思っていると明かしました。

清水「人それぞれの初音ミクがいて、お互いに許容し合える優しい世界がプロセカにも通じていて。世代を超えて、お互いの感じている初音ミクについて話し合えていけばいいですよね」

初音ミクが登場した当時、大きな衝撃を受けたと話すクリエイターたちはたくさんいます。
近藤さんにとっても、改めて初音ミクの存在がいかに大きいかがわかります。
 

今までの音楽シーンと、今後の見通し

ボカロをやバーチャルアイドル含む今後の音楽シーンについて尋ねられた佐々木さん。

佐々木「初音ミクたちが歌っている楽曲については、どういう風に聴いてくれてもいい。歌手としての初音ミクの主張より、クリエイターさんの個性などに光が当たってもいい。自由に広がっていけば(ニコニコ動画の)歌ってみたとか、聴き手がいろんな楽しみ方をしてくれれば」

ここでも近藤さんと同じく「初音ミクの持つ懐の深さや優しさ、多様性こそが魅力」と力説。

初音ミク以前の音楽シーンはプロのミュージシャンが作り手だったけど、初音ミクが出てきてからたくさんの作り手たちが現れ広がっていったことを踏まえて、「みんなが楽しめる音楽になって来たし、今後もなっていくと思っている」と話す様子に、清水も言葉が出なくなってしまいます。

続けて近藤さんも「いちゲーマー、ゲームクリエイターとしての発言になりますが」と前置きした上で、次のように話してくれました。

近藤「僕の視点ですけど、元々ボカロシーンとメジャーな音楽シーンは切り離されていたと思うんです。プロセカを開発し始めた頃くらいから、この境界線がかなりなくなってきたと思っていて。ボカロシーンにいた方々が、メジャーな場所で活躍されることも多くなってきましたし。

もはや、ボカロやメジャーな音楽シーンと言った壁と言うか境界線すら、意識することすらなくなってきた感覚があります。
クリエイターもより曲を作りやすくなったり、受け入れられやすくなったりとか。聴き手もより意識せずに聞けるようになったりしたんじゃないかと思いますね」

ファン・リスナーに向けた熱いメッセージ

近藤「僕はプロジェクトセカイのプロデューサーをやらせて頂いていて、素晴らしいボカロシーンとか、ボカロ文化の端というか派生したもののひとつなんですけど。

やっぱり多様性とか、多様性を皆さんが認め合っているところが素晴らしいと思っているので。
プロセカもボカロシーンのひとつというか、決して固定観念を持ちこむものではなく、派生した先にボカロシーンをサポートできるような、お互いを支え合えるようなポジションにできるように頑張っていければいいと思っているので。今後もよろしくお願いします」

続いては佐々木さん。

佐々木「初音ミクやバーチャルシンガーたちっていうのは、いろいろな方々に、曲やクリエイティブを作っていただいて、皆さんに愛されたことが、ここまで来た原動力だったと思ってるんですけど。

本当にセガの方々や、近藤さんもですけど、様々なゲームプロデューサーの方々に恵まれて。ここからダイナミックなライブとかいろいろな動きを作ってこれたと思っています。
我々は一歩引いたところからご一緒させていただくようなところではあるんですけど。企業側…ゲームのいろんなチューニングって影響力が大きかったりとかしてて。
これからもセガさん等とご一緒していく中で、新しいものを作っていきたいと思ってますし。

今回はプロセカを通して「今までは初音ミクの○○」って展開だったところが、うちのバーチャルシンガー全員にスポットライト当てていくってところにも段階的に取り組めているかなと思います。

『みんなで楽しく音楽を』ってところもあれば『初音ミクという象徴』というところに対してというところと。両方お客さんのニーズがあって、バランスよくやっていけるように進めていければと思っています」

濃厚すぎる言葉の数々に、清水が何度も言葉を失くすことが多かったインタビュー。今後の展開が待ち遠しくなります。
(葉月智世)
 
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2021年08月15日18時01分~抜粋

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