RADIO MIKU

「初音ミク」生みの親が語る「プロジェクトセカイ」誕生秘話

昨年リリースされ、10代から20代の女性を中心に人気の音楽ゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』。

8月8日放送のCBCラジオ『RADIO MIKU EX』では、Colorful Palette 近藤裕一郎さんと、「初音ミク」生みの親クリプトン・フューチャー・メディアの佐々木渉さんが出演し、通称「プロセカ」がどのような世界観で作られたかを語りました。
聞き手は清水藍です。

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プロセカのファン層は若い世代

プロセカの概要について語る近藤さん。

近藤「プロセカはスマートフォン向けのリズムゲームアプリです。初音ミクを含むバーチャルシンガー6名も登場しつつ、オリジナルキャラクターや音楽や初音ミクたちの世界と現実世界を行き来しながら進んでいく物語が特徴となっています」

清水も、いちファンとして普段からSNSを眺めていると、プロセカがとても勢いのあるコンテンツだと感じていたんだそう。
プロセカのファン層がどのくらいの年齢層なのかも気になるところ。

近藤「プロセカ自体が若い年代層をターゲットにしていて、ボカロやインターネット発の音楽を聴いてもらえるような入り口になればいいなという作品だったので。
若い世代に受け入れられるような作品作りを目指していたものの、結果的に、想像以上に若い世代に受け入れられていますね」

昨年リリースされたにもかかわらず、昨年度GooglePlayの「ベストオブ2020 ユーザー投票部門」ゲームカテゴリーで最優秀賞も受賞。名実ともに人気ゲームです。
 

プロセカ誕生のきっかけ

プロセカはどんなコンセプトで作られていたのでしょうか?

近藤「プロジェクトの目的は先程の通り、若い世代に聴いてほしいということで。
僕がセガさんから話をいただいたのは2017年の末だったんです。
当時、僕はバンドリ!(バンドリ! ガールズバンドパーティ!)という別のゲームを作っていたんですけど。ちょうどバンドリ!をリリースした年の年末くらいに、セガさんが初音ミクの絵を持ってきて『一緒にゲームを作ってくれませんか?』って言われましたね」

かつてボカロPとして活動していた近藤さんですが、この頃はボカロシーンから少し遠ざかっていて、ニコニコ動画もあまり観なくなっていたそう。

しかし周りにも、似たような状態の人たちがいる中で、クリエーターとしての面白さやものづくりにかける情熱をボカロシーンに育ててもらった、という思いを持っていました。

シーンに対して何かできるのであれば、と考えていたところに企画を持ち込まれ、2018年の正月は考え続けて唸っていたそうです。
 

バランスや存在感に苦労

一方の佐々木さんは、セガとゲームを企画していたものの、プラットフォームなどの関係で形にならなかったそうです。

佐々木「当時は任天堂さんの『リズム天国』みたいなゲームの検討をしていたところに、プロセカのような超大作の世界に移行したので、感覚を取り戻すのに苦労しましたね」

近藤「最初は別のキャラクターや世界観があったんですけど、セガさんと佐々木さんが4か月くらい話し合って、最初のキャラクターや世界観は全部ボツになったんです。その後出来上がったのが今のプロセカなんですよ」

初音ミクのファンの間では、事前告知でオリジナルキャラクターが出てくることを知り、「ミクたちはどうなるの?」という不安の声がありました。

清水は、近藤さんや佐々木さんがインタビューなどで作り手の思いを知る機会が多かったため、スムーズに受け入れていったとのこと。

これは近藤さんがボカロP出身だったことも関係しているのでしょうか?

近藤「僕一人では絶対にできなかったバランス感覚です。クリプトンさん、セガさん含め、いろいろな方の視点やレビュー、ディスカッションがあってギリギリのバランスでできたなと」

佐々木「実際、2020年のはじめに音楽の作り込みなど濃縮された時間があった。思い出せないくらい圧縮された時間だった」

こう語るながら「各所に迷惑をかけた」と苦笑する佐々木さん。
 

ボカロの調声(ちょうせい)の難しさ

オリジナルキャラクターと初音ミクたちのバランスや存在感に苦労した近藤さんですが、キャラクターやプロセカの世界観に対する深い愛情と思い入れがあることを熱弁します。

コンセプトの「一緒に歌おう」を体現するように、初音ミクと他のキャラクターたちが気持ちよく歌っていることが伝わるように苦心したそうです。

初音ミクたちのボカロの音声と、わたしたち人間の声をうまく合わせることはとても難しい技術が必要だと思われますが…

佐々木「実際にどんな風に作り込んでいるかは、詳細を話すと野暮になってしまうので。まずは全てのキャラクターが仲睦まじく歌ってくれる世界観が欲しかったので、バランスは苦心して、リリース後も今も、もっと良くならないかといろいろ調整させてもらってます」

さまざまな企画を各方面から相談されたりすることからも、アイディアや気づきを得ていると言う佐々木さん。

現在、曲がリリースされるたびに新しい世界や彩りをファンに届けてくれるクリエイター陣の努力によってさらに世界観が深められている『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』。
今後の展開にも期待しましょう。
(葉月智世)
 
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2021年08月08日18時02分~抜粋

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