CBCラジオ #プラス!

秋田のレトロ自販機が絵本に!『ぼくは ぽんこつ じはんき』が描く温かな人間模様

11月6日、秋田県の有名な「うどん・そば自販機」を題材にした絵本『ぼくは ぽんこつ じはんき』(あさ出版)が出版されました。
秋田港の近くにある自動販売機にうどん・そばを買い求めにやってくる人々の人間模様を描いた作品です。

11月25日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、『バスが来ましたよ』(アリス館)などで人気の絵本作家で、著者の由美村嬉々先生に話を伺いました。

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自販機視点から描く人間模様

『ぼくは ぽんこつ じはんき』は、秋田市土崎港に1973年に設置された「うどん・そば自販機」を題材にした絵本。お客さんたちの人間模様や交流を、自販機の視点から描いた心温まる物語です。

かつて「佐原商店」の前に置かれていたこの自販機は、長年地元住民やツーリング客、観光客に愛されてきましたが、交換部品の不足により現在は「道の駅 あきた港」で稼働中です。

由美村さん「コインを入れると、ブーッと中で回っていって、そばかうどんかを選んで、ちゃんとお湯が出てきますね」

三浦優奈は、この自販機が実際に動く様子を動画で観たそうです。

三浦「“ぽんこつ”っていうだけあって、うどんが飛び出していたりとか。それもまた味わい深いなって思いましたよ」

由美村さん「人間が作ったかのように、『はいどうぞ』って出てくる」

真冬の秋田へ、自販機に会いに行く旅

この自販機は、2015年に放送されたNHKの『ドキュメント72時間』で「秋田 真冬の自販機の前で」として取り上げられました。由美村先生はこの番組をきっかけに自販機の存在を知り、その魅力に心を動かされたといいます。

「秋田 真冬の自販機の前で」は、2022年に放送された「歴代ベスト10スペシャル」で視聴者投票1位に輝いたエピソード。

「あの自販機が多くの人に愛される理由を知りたい」という思いから、由美村先生は仕事の合間をぬって真冬の秋田へ向かいました。

由美村さん「愛おしくて。この子をしっかりみんなに提供できるといいなって、母親のような気持ちになりました」

さらに、絵本画家や出版社の方々と何度も自販機を訪れるうちに、そのパワースポットのような不思議な魅力に惹かれ、「絶対本にしたい」という思いを強くしていったそうです。

完璧じゃなくても大丈夫

『ぼくは ぽんこつ じはんき』で由美村先生が描いているのは、自販機目線で観た、ほのぼのとした人間模様です。

三浦「人間模様もそうですけど、自販機模様も描かれているというか。最後はちょっと涙しちゃうぐらい、自販機に感情移入をしちゃう。人と人を繋げたあの自販機、先生の愛おしいという気持ちが、この絵本からすごく伝わってきます」

タイトルの「ぽんこつ」は、もともとこの自販機を管理していた佐原さんの「こいつはポンコツなんだけどね」というひとことから付けられたそうです。

由美村「ポンコツでもオンボロでもいいので、人とともに人の間で生きていく、その素晴らしさを絵本のかたちにとどめておきたいなと思いました。これは“ぽんこつ”しかないなって」

完璧な人間なんていないのと同じように、くたびれたりダメになったりしても「それでも大丈夫だからね」と勇気を与えたいと、由美村先生は話します。

「元気になる場所が必要」先生の想い

たくさんの知人・友人から「行ってきたよ」というメールをもらったという由美村先生。
日本海を臨む場所で、自販機のうどんやそばを食べて「温かい懐かしい気持ちになったよ」と言われたことが、とても嬉しかったそうです。

由美村さん「人ってそういう元気になる場所が必要だと思うので。全国から秋田の道の駅に来てくれて。その不思議な場所で、うどんやそばを食べて温かい気持ちになって、心も体も胃袋も満たして帰ってもらうと元気になれるかな、みんなに愛されるかなっていう、そういうことを心を込めて書いたつもりです」

三浦「先生の本を読んで、この自販機に会いたくなりました。聖地巡り!会いに行きたい!そんな風に思いました」

由美村さん「会いに来てください。一所懸命、稼働してます。とってもおいしいですよ!」

秋田の港町でがんばるぽんこつ自販機。その一杯が届けるのは、懐かしさと温もりに包まれた特別な時間です。
(minto)
 
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2024年11月25日07時43分~抜粋

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