先月、ロシア軍の哨戒機が日本の領空を3度も侵犯し、自衛隊は史上初のフレアと呼ばれる熱と光による警告を行ないました。
また、近年は中国船が日本の領海へ頻繁に侵入しています。
日本では領空侵犯や領海侵犯に対して、どのような措置が取られているのでしょうか。
10月16日放送『CBCラジオ #プラス!』では、ジャーナリストの北辻利寿さんが領空侵犯や領海侵犯について解説しました。
領空や領海のエリアはどこまで?
まずは各国が持つ領海や領空の広さからおさらいしてみましょう。
領海は国の海岸線から12海里(約22km)周辺と国際法で定められていて、その上の部分がそのまま領空になります。
どんどん上に行くと宇宙に到達してしまいますので、上は100kmまでとなっていて、そのために各国は人工衛星を飛ばしたり、宇宙ステーションを作ったりすることができるのです。
飛行計画などの許可なく領空に入ると領空侵犯になります。
領空侵犯には各国は空軍が対応しますが、日本は航空自衛隊が対応します。
目で見て確認が取れるまでは、入ってきた飛行機は未確認飛行物体、つまりUFOという扱いになりますが、飛行機と確認が取れれば、まずは早く出るようにと公用語で警告します。
自衛隊では対応マニュアルがあり、まずは「速やかに進路を変更せよ」と伝え、聞かなければ警告として「速やかに退去せよ」と伝えます。
それでも聞かないのなら「我の指示に従え」と、さらに厳しい警告になります。
フレアによる厳しい警告
今回、ロシアの哨戒機に対して使用したフレアは火炎弾とも呼ばれ、自衛隊機から金属の粉末を燃やして撒き、相手の機体の周辺に光と熱を放つというもの。
その炎によって相手の機体が墜落するという威力はありませんが、言葉だけではなくきつく伝えているわけです。
今回はそれでロシア側は去っていきましたが、もし去っていかない場合は、強制着陸を命じることができます。
それでも応じない場合は、ミサイルなどで撃墜しても良いこととなり、領空侵犯はそれほど重いことなのです。
さらに1か月前は長崎県で中国軍の情報収集機が日本に入ってきたのですが、中国軍が入ってきたのは初めてであり、こちらも大きな問題として捉えられています。
領海侵犯は年に何日?
一方、領海侵犯は領海で何か活動すると領海侵犯したことになりますが、ただ通過するだけでは侵犯の扱いになりません。
領空侵犯は国際法で規定されていますが、実は領海侵犯はメディアによる呼称です。
領海侵犯のわかりやすい例として北辻さんが挙げたのが、漁船が魚を獲る違法操業。
日本では海上保安庁が違法操業をしている漁船を見つけた場合は旗や光、汽笛、無線やスピーカーなどによる警告を行ない、悪質であればだ捕、つまり逮捕することになります。
中国は尖閣諸島を自国の領土と主張していますが、日本からすると領海侵犯を何度もされていることになります。
昨年、領海のすぐ外側にある接続水域という所に中国が通った日数は、なんと352日。
そのため、沖縄県の南西諸島ではすごく緊張が高まっています。
空の方では、2023年度の航空自衛隊機による緊急発進は669回で、7割は中国機。
北辻さんは「単に入って来るだけで済めばいいですけど、偶発的な衝突、何かあった時にいきなり戦争状態になる可能性もないとはいえないので、そういう意味で非常に緊張する事態ではありますね」と、危機感を募らせました。
(岡本)
CBCラジオ #プラス!
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2024年10月16日07時18分~抜粋