大盛況のうちに幕を閉じたパリオリンピック・パラリンピック。
一方で開始時に課題となっていたことは解決できたのでしょうか?現在のフランスの国内情勢はどうなっているのでしょうか?
9月10日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、ジャーナリストの北辻利寿さんが「祭りの後のパリ」をテーマに解説します。聞き手は光山雄一朗アナウンサーです。
パリをアピール
開催前に「パリオリンピック・パラリンピックには課題がある」と語っていた北辻さん。改めてそれがどうなったのでしょうか?
北辻「今回初めてのことですが、名所旧跡を競技会場にした。なんと95%は既存の施設や仮設の競技場を活用しました。
例えばオリンピックの開会式はセーヌ河でした。パラリンピックの開会式はコンコルド広場。フランス革命の時にここでマリーアントワネットなどがギロチン台の露と消えました。
エッフェル塔の下ではオリンピックのビーチバレーとか、ベルサイユ宮殿では馬術が行なわれました。
パリ全体がオリンピック・パラリンピックと融和した大会で、"永遠の都"といわれているパリが世界にアピールできた大会でした」
セーヌ河の浄化は?
そんな中、セーヌ河に関する問題がありました。
北辻「このオリンピックを契機として、水質の浄化を目指しました。
トライアスロン、10km遠泳の会場になりましたが、雨が降ると汚染された水がセーヌ河に流れ込んで大腸菌の数値が上がって、公式練習が中止になったり、水質を理由に棄権する選手もいたり、出場してもその後体調を崩して入院した選手もいました。
パラリンピックもトライアスロンをしましたが、10日間の間で大腸菌の基準値以内に納まったのはわずか2日だけだったという話もあります。
パリ市は来年にも市民が泳ぐエリアを作ってセーヌ河を泳ごうという計画を持っていたが、今後どうなるかというところです」
移民の行き先
北辻さんが挙げていた課題について、現状はどうなっているのでしょうか?
北辻「フランスは外国からの移民を受け入れていて、たくさん外国からやってきた人が住んでいます。パリにもたくさんいます。
今回選手村を作ったり、都市の再開発という中で、移民の人たちが街から排除されました。
なぜかというと、聖火リレーとかマラソンで街が映る。移民の人たちが映らない方がいいというパリ市の意向があったといいます。
NGO団体の報告書によると、大会前の1年間で移民12,000人ほどが仮設の住まいから強制排除された。
パリの北東にサン・ドニ県があり、選手村が作られました。ここは工業地帯で、住む人の多くは工場で働く移民でした。この人たちも出ていけということになりました。
選手村はこの後約6000人が住める公団住宅になります。一部は低所得者の公団になりますが、物価自体が全体に上がっているので、この人たちがそのまま戻れるかという問題も出てきています」
激しい物価の上昇
パリ周辺では五輪の影響で物価の上昇が続いているようです。
北辻「メトロは運賃が2倍、街のレストランなどもオリンピック・パラリンピックの観光客目当てに、軒並み値上げになったそうです。
例えばビールは5割近く値上げ、クロックムッシュは3,000円近くします。
フランスの消費者物価指数は前の年に比べて5%前後上昇しているので、大会が終わったから価格を戻しましょうとなるかどうか心配です」
混乱の国内情勢
フランスの国内情勢も大変なことになっているそうです。
北辻「直前に下院の総選挙があって、マクロン大統領の与党連合と左派連合と極右政党の3つの勢力が拮抗した結果になった。どこも勝っていない。
政治は不安定だったのですが、開催中は一時政治的にも休戦していました。が、これからどうなるか。
特に国の借金が膨らんでいて、財政赤字が深刻で、政治が動き出した時にどういう内閣をこれから作るかという大きな課題があります」
大会中は日本人選手の活躍に注目が集まりましたが、フランスがどうなるか、日本への影響も気になるところです。
(みず)
CBCラジオ #プラス!
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2024年09月10日07時17分~抜粋