9月5日の毎日新聞の一面にこんな見出しがありました。
「すし職人、海外で争奪戦」
記事によれば、寿司職人は海外でが東京・銀座の寿司店より3倍以上稼げるとのこと。
この日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、CBCアナウンサー永岡歩とつボイノリオがこの記事を基に意見を交わしました。
海外に身を置くだけで年収3倍!
記事によれば、銀座で寿司職人として働いていた人がシンガポールに移り、10数席のカウンターだけの回らない寿司店で働いたところ、客単価が日本円で5万~6万円、年収は手取りで1500万円になったそうです。
ちなみに銀座で働いていた頃の月収は40万円で、年収は480万円でした。
場所を海外に変えただけで提供する技術は同じ。それなのに収入が3倍です。
そもそもシンガポールは、ラーメン1杯が2500円~3000円と物価が高い国です。
永岡「収入が3倍になったっていうけど、じゃあ自分で昼飯ラーメン食べようっていったら3000円払うんだったら、結局支出も多くなってきちゃいそうだなと思うんです」
支出に一抹の不安があるものの、パリに移った寿司職人も月収が銀座で勤務していた時の2倍になったそうです。いま海外での寿司職人バブルが起こっているのです。
職人の収入は平均以下
厚生労働省の統計によると、寿司職人を含む日本料理調理人の年収は平均で358万円です
これに苦言を呈すつボイ。
つボイ「日本人の平均の年収は大体400万ぐらいと言われていますんで、それより低いのかいうのはちょっと気の毒な気がします」
永岡「修行時代を考えると安かったり、あとはベテランの技を見られるだけでいいから、お金(給料)もなくていいですみたいな話もあったりすると言います」
長年培ってきた技術に見合わない収入しか得られない、というのが日本の現状です。
海外で必要なのは技術だけじゃない
この海外における寿司職人バブル、どうやら簡単に成功するとは限らないようです。
シンガポールで働く方によると、成功するにはまず寿司職人としての確実な技術が必要。
その上で軽い冗談が言え、ちょっとした笑いを取れるような営業センスも必要になってくると言います。
永岡「日本ですと…イメージですよ?お寿司屋さんは頑固な方がやっていて、職人で『黙って食え』と。ピーチクパーチク喋れず、パッと食べて『旨い』。 30分でスッと出ていくみたいな。そういうのが日本の粋だな、みたいな」
しかし海外では日本の「粋」は通用しないようです。
対面式の店舗がほとんどのため、ユーモアで笑いを取れる営業センスを、その国の言語で発揮しなければなりません。
海外で働く寿司職人によると、現地のムードにあったトークが必要なため、難易度は日本よりも断然高いそうです。
日本の文化から抜け出したセンスも必須となると、海外での成功のハードルは相当高いものに感じます。
新しいお寿司誕生に期待
つボイは優秀な職人が海外へ移ることで日本の寿司業界の衰退を心配しますが、一方で期待している面もあります。
つボイ「海外の文化と日本の寿司が触れ合うことによって、また新しい文化ができるのではないか?」
つボイは例としてカリフォルニアロールを挙げました。
海外の人に聞いたところ、外国人は海苔が苦手だったようです。ショートケーキのセロハンのように剥がしたくなってしまうそうで、海苔で巻かない寿司として独自の進化を遂げたのがカリフォルニアロールでした。
つボイ「これはカリフォルニアでしょうけど、『シンガポールなんとか』みたいに、また逆輸入して僕らも楽しめるのかなって」
永岡「パリなら『パン握り』的な?シンガポールならラクサとかね」
日本の寿司文化をベースに新しいお寿司が誕生するかもしれません。
職人が海外へ移っていくことで日本の人材が減少してしまう懸念がありますが、日本と海外の文化の融合にも期待です。
(ランチョンマット先輩)
CBCラジオ #プラス!
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2024年09月05日08時03分~抜粋