いつまでも健康に歩くために大切な股関節。
痛めたり歩行が困難になる変形性股関節を起こす原因の多くは生まれつきで、患者の8割が女性です。
変形性股関節症の予防、治療方法は一体何でしょうか?
8月1日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、多治見スマートクリニック整形外科専門医 福田誠先生が変形性股関節症について解説しました。聞き手はCBCアナウンサー永岡歩と山本衿奈です。
実感するのはいつ頃?
前回の放送で、福田先生から変形性股関節症の原因の多くが生まれつきという話があり、リスナーからも反響が届きました。
「私は先天性股関節症です。股関節が脱臼して生まれてきたようで、1歳を過ぎても歩けないのでわかったようです」(Aさん)
生まれつきといえども、股関節の痛みや動きにくさ、歩きにくさを実感するのは多くは40歳を過ぎてからです。
症状が進行すると変形する軟骨がすり減るため脚の長さが短くなり、左右で長さが変化すると歩き方がおかしくなっていきます。
永岡「脚の長さが違うくらい変化してるなら、すぐ気づくのかなと思ったんですけど」
福田先生「左右が違っても、骨盤とか腰骨の動きを無意識に調整するのでわからなかったりするんですよ」
脚の長さの差が大体2cmまでは障害なく過ごすことができますが、それ以上股関節が変形して足が短くなってくると痛みなどの症状が現れます。
軟骨の擦り減りの進行を予防することが大切です。
予防方法
福田先生によると、変形性股関節症の予防は大きく分けて2つあります。
ひとつは負担の軽減。
急な体重増加は変形性股関節症の悪化や進行を早めてしまうと言われています。
体重のコントロールはもちろん、股関節の負担が少ない運動も大切です。
福田先生がこの時期おすすめの運動として紹介したのはプールトレーニング。
水の中で股関節への負担を減らして泳いだり歩いたりすることが可能です。
もうひとつの予防方法は、股関節周りの筋肉の維持をすること。
変形性股関節症は股関節の周りの動きが悪くなるので、特にお尻にある臀筋が弱っていきます。ここを鍛えることが予防に効果的です。
股関節周りの筋肉維持は独学で行うのではなく、整形外科のリハビリテーションが優良とされています。
というのも、実際に弱っている筋肉は人によって異なるため。
自分が弱っている箇所を専門家に見てもらい、股関節の痛みが出ない運動かつ筋肉を維持する方法、また股関節の筋肉をストレッチする方法を教えてもらいましょう。
痛みが改善しない場合は?
患者の多くは産まれた頃からの病気なので、予防をしても症状が改善しない場合もあります。
福田先生はその際の治療として、人工関節の手術を推奨しました。
これは実際に傷んでしまった股関節を別のインプラントに置換することで、痛みの原因を元から改善する手術です。
利点は痛みの改善だけではなく、インプラントの大きさや位置によって足の長さを元に戻したり、今まで動かなかった股関節の動きを改善できます。
福田先生によると、股関節の人工関節手術はこの10年で進化した手術の1つです。
10年前は術後1ヶ月ほど入院していましたが、現在では股関節周りの筋肉をほとんど傷つけずに手術ができるよう進化し、手術時間は1時間程度、術後はなんと約5日で歩いて帰れます。
10年前はリハビリも含めて1ヶ月ほど入院していましたが、今や外来通院でリハビリが可能です。
現代では生活様式も代わり、中高年も仕事や家庭があるため1ヶ月もの入院が難しいのが現状ですが、5日であれば調節できそうです。
予防もしつつ、違和感があれば専門科に相談を。
(ランチョンマット先輩)
CBCラジオ #プラス!
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2024年08月01日08時19分~抜粋