『CBCラジオ #プラス!』の「ニュースにプラス!」のコーナーでは、光山雄一朗アナウンサーが気になるニュースを紐解いていきます。
7月16日放送のテーマは「パリ五輪を語ろう」です。
26日に開催されるパリ五輪。華やかなパリという舞台の裏で解決していない問題も抱えています。開幕までに問題点をクリアできるのか、CBC論説室の北辻利寿特別解説委員が解説します。
国内聖火リレー
7月14日にパリに聖火が到着しましたが、この日はフランス革命記念日でした。
北辻「リレーはシャンゼリゼ通りから始まって、人気の韓国のグループBTSのJinさんも走りました。
これからフランス国内を聖火が回っていよいよ開幕を迎えます。
パリでの開催は3度目です。1924年以来、100年ぶりの開催です。
3年前の東京オリンピックは新型コロナウイルスのために無観客でした。今回は観客を入れての全面開催だから盛り上がると思います」
パリの歴史
開催地のパリにはどんな歴史があるのでしょうか?
北辻「紀元前300年頃にケルト人のパリシイ族がシテ島に住むようになりました。シテ島は周囲を川に囲まれていて移動するのがとても便利でした。
その後、カエサル率いるローマ軍が征服して、水道を引いて道路を作って、町は都市へと発展していきました。
パリシイ族が暮らしていたから『パリ』と呼ばれるようになりました。街を流れていた川がセーヌ川です」
今回の開会式は、そのセーヌ川で行われるそうです。
北辻「今回の大会のスローガンが『広く開かれた大会』です。選手たちは100隻以上の船に乗ってセーヌ川をおよそ6キロ航行します。エッフェル塔の下にあるところでセレモニーに臨みます。
一般市民も無料でこの水上パレードを見ることができます。だいたい川沿いに30万人が想定され、リハーサルも行われました」
テロへの警備
今回のパリ五輪、解決していない問題点も抱えています。
北辻「開会式でいうと、テロに対する警備問題。アメリカではトランプ氏への銃撃事件がありました。ロシアによるウクライナ侵攻とか、イスラエル、パレスチナの中東情勢とか、世界には不穏な空気が漂っています。
パリ警視庁はテロ組織への警戒を強めていて、今回の水上パレードも最初は60万人を想定していました。しかし、警備が大変ということで半分にしてしまった。それでも、当日は4万人を超える警察官や兵士を投入して厳戒態勢。テロに対する特殊部隊も準備します。
今回のパリ五輪のコンセプトが既存の施設を競技会場として使おうということで、エッフェル塔とか、ルーブル美術館に近いコンコルド広場など、観光名所も競技の会場になります」
それゆえ「逆に警備が大変」と語る北辻委員。
北辻「パリ市民には『期間中は夏のバカンスでパリを離れてください』と。コロナ禍で学んだように、リモートワークを利用して仕事をする人もパリを離れてくださいと呼びかけています」
セーヌ川の水質、記録的な暑さ
他にも、セーヌ川の水質問題があります。
北辻「昔はセーヌ川で泳ぐことができましたが、下水道施設がなかなか整備されず、20世紀はじめから遊泳禁止となりました。今も雨がたくさん降ると大量の汚水がセーヌ川に流れ込みます。
今回セーヌ川は開会式の会場だけでなく、トライアスロンなどの会場としても使われます。現地からの報道によると、先月1週間水質検査をやりました。全期間、大腸菌の濃度が基準値を上回っている。大会本番に雨が降ると汚染が進む恐れもあります」
さらに、TOKYO2020でも指摘された暑さの問題も。
北辻「昨年も世界で観測史上最も暑い夏と言われました。2019年の夏、パリで気温42度を記録しています。だから、今年が急に涼しい夏になることはありえない。地球温暖化の中で開かれる大会。暑さは深刻な問題としてあります」
こうした問題点は期間中に解決されるのか、安全が担保された五輪となるのか、世界が注目しています。
(みず)
CBCラジオ #プラス!
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2024年07月16日07時19分~抜粋