CBCラジオ #プラス!

クリーンエネルギーとして水素が期待される理由

次世代の脱炭素エネルギーとして期待されているのが水素。

その供給網計画が中部圏でも動き出すことになり、愛知県などで作る官民会議は1日、供給網の構築計画を決め、貯蔵施設や製造拠点を段階的に整備するとのことです。

太陽光や風力などクリーンなエネルギーが求められている今、なぜ水素が注目されているのでしょうか?

7月10日放送『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が水素エネルギーについて解説しました。

[この番組の画像一覧を見る]

水素のここがスゴい

水素エネルギーについて解説する前に、まずは中学で習った化学についておさらいしました。

元素記号を「水兵リーベ、僕の船…」と覚えた方も多いでしょうが、最初に出てくる「水兵」の水が水素で、原子番号が1番、元素記号はHです。

水素がエネルギーとして優れている1番の点は、何といってもどこにでもふんだんにあることで、それこそ水にも含まれていますし、ほぼ無限といっても良いぐらいです。

しかも石炭などと違って、燃やしても二酸化炭素が出ないのでクリーンです。

それならいつでもどこでも簡単に取り出せるのかというと、そうではなく、自然界には少ししかないため、人工的に作り出す必要があります。
 

同じ水素でもカラーが違う!?

ただ、すでに産業で使われている水素は、石油などを分解して取り出しています。
その過程で結局二酸化炭素を排出しているためにクリーンとはいえず、これを「グレー水素」と呼んでいます。

そこで「生成された二酸化炭素を外に出さず、どこかに溜めておけば良い」という考えがあり、その回収のしくみができあがっている状態で生成された水素のことは「ブルー水素」と呼んでいます。

他に水を電気で分解して水素を取り出すという方法もありますが、その電気をそもそも再生エネルギーでまかなえば、作る過程もできあがりもクリーンということになり、これを「グリーン水素」と呼びます。

同じ水素でも3パターンに区別されていて、ベストは「グリーン水素」ということになります。

水素の使い道

そうしてできた水素の利用方法ですが、1つは燃料電池として使うこと。

水素と空気中にある酸素で電気を作ることができますが、その際に水ができるため、水素の燃料電池を使った車は水をポタポタ落としながら走ります。

トヨタ自動車は2014年から燃料電池自動車『MIRAI』を販売していますが、どんどん売れると、将来ガソリンスタンドのように各地に水素ステーションを作った方が良いということになります。

また、水素を燃やすと熱エネルギーを持つことができますので、それでタービンを回すことで水素発電をすることができます。

この発電機械を家庭や事業所に置くと、クリーンなエネルギーが広がります。

水素エネルギーの課題

冒頭に中部圏で貯蔵施設や製造拠点を段階的に整備するための計画を立てる話がありましたが、電気を作った場所で必ずしもすぐに電気を使うとは限らないため、作った電気を貯めたり運んだりする必要があります。

その点で水素は貯めやすく、-253度まで冷やすと液体になって容積が小さくなって運びやすいというメリットがあります。

ただ、水素でできた電気を作る、運ぶ、使うためには事業者の参入が不可欠ですが、コストがかかる、莫大なインフラの整備が必要となると二の足を踏んでしまう可能性もあります。

そこで日本では5月に水素社会推進法というものが成立し、コストが高いなら政府が補助するということが検討されています。

今後新たなエネルギーとして期待されている水素ですが、日本でも広まることができるか注目です。
(岡本)
 
CBCラジオ #プラス!
この記事をで聴く

2024年07月10日07時19分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報