滋賀県大津市の住宅で保護司の男性が殺害された事件で、男性の死亡推定日とされる先月24日に住宅のカメラ付きインターフォンに逮捕された保護監察中の男の姿が映っていたことがわかりました。
弁護士の男性に立ち直りの支援を受けていて、この日も面談予定でした。男は調べに対し「私はやっていません」と容疑を否認しています。
6月10日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、この「保護司」という仕事について、光山雄一朗アナウンサーとCBC論説室の石塚元章特別解説委員が解説しました。
保護司の殺害は初めて
滋賀県大津市の民家で、保護司でレストランを経営していた被害者の新庄博志さんの遺体が見つかった事件では、近くに住む無職の飯塚紘平容疑者が殺人の疑いで逮捕されました。
この容疑者は5年前に強盗事件で有罪判決を受けて、保護観察中でした。
「私はやっていませんし、何も答えたくありません」と容疑を否認しています。
新庄さんは、容疑者の判決確定直後から保護司として飯塚容疑者を担当していました。
保護司が保護観察中の対象者に殺害されたとする事件は初めてのことです。
保護司、保護観察とは
「保護司」とは、犯罪や非行をした人の立ち直りを手助けする方で、民間のボランティア。
「保護観察」とは、月に何度か自宅などで面接をして「保護観察中の約束事を守っているか」を確認して、社会生活を送る上での相談に乗ることで、犯罪に結びつく行動の禁止なども列挙されています。
こういった側面から、更生をそばで見守る保護司を狙う事件はあまり想定されてこなかったようです。
しかし、1964年に北海道で保護観察期間が終わった対象者が、担当保護司を殺害したという事件はありました。
保護司の成り手への影響
保護司は、形の上では国家公務員の肩書はありますが、実情は完全にボランティアです。
石塚委員が最も気になるのは、こういう事件があって「怖いな」「続けるのが嫌だな」という方が増えて、大事な仕事の成り手が少なくなるということ。
実際、すでに保護司の数は20年前と比べて2,000人以上減り、現在は47,000人ほど。
この保護司という制度への成り手の方への影響が最も懸念されるところです。
もうひとつの心配は、「やっぱり保護観察を受けている人は危険」という考え方が蔓延してしまうこと。
そういった意味でも、今回の事件は大きな影響力を及ぼす可能性があります。
保護司が減っている理由
保護司は、52,500人の定員をすでに割っています。高齢化も進み、退任者の増加が今後も見込まれている現状です。
これまでは、退任する保護司が人脈を頼りに後継者を見つけるという形でしたが、会社や役所で定年延長が進んだ影響で、退職後に保護司を引き受ける方が少なくなってきているといいます。
有識者からは、「現役世代が保護司の活動に参加しやすい環境を整えるべき」という訴えもあるようです。
保護司に必要なこと
しかし「平日に連絡が取れない人は保護司になれない」という問題点もあります。
何かがあった時にすぐにコンタクトが取れる人となると、高齢化の問題はどうしても避けて通れません。
容疑者は保護司殺害の容疑を否認。また今回のケースは大変稀な事例だと専門家は言っています。
今回の事件を受けて、法務省は全国の保護観察所に対し、保護司と保護観察中の対象者の間にトラブルがないか総点検の実施を求める通知を出し、安全確保策を検討していく方針だということです。
(minto)
CBCラジオ #プラス!
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2024年06月10日07時03分~抜粋