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国会で成立も問題が山積み…共同親権の問題点

4月16日、離婚後は父、母どちらかの単独親権とする規定を見直し、共同親権を選べるようにする民法改正案が、衆議院本会議で自民、公明、立憲民主、日本維新の会などの賛成により可決されました。

このあと参議院に送られ、今国会で成立する見通しです。

17日放送『CBCラジオ #プラス!』では、最近話題にあがっていた共同親権について、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が解説しました。

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共同親権のメリット

夫婦が離婚しても、こどもにとっては父親も母親も変わらないため、どちらも親権を持つというのは一見、自然なように見えます。

共同か単独か父母が折り合えない場合は家庭裁判所が判断するということですが、虐待やDVの恐れがあれば単独親権と決められるとのことです。

では、共同親権のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

例えば、配偶者に無断でこどもを連れ去られ、そのまま離婚協議に移って親権を取られてしまうというケースについて、共同親権の導入や面会交流などが適切に実施されることで、一定の抑止につながります。

また、離婚後もこどもと関わることができる社会になるという期待が持たれます。

共同親権のデメリット

ただ、離婚の協議が円滑に進むわけとは限りませんし、問題点もあります。

例えば、虐待やDVの恐れがあれば単独親権になりますが、過去にDVなどがあって現在は反省して問題がないという場合は、共同親権になることもあります。

また、親同士で共同親権を決めたとしても、こどもが「昔、暴力を振るっていた親とは住みたくない」と思っても選択できないデメリットも。

そして、高校無償化などの補助について、共同親権の場合は父と母の所得を合算して判断されますが、もし相手方から養育費が支払われなければ、生活が厳しくなります。

今でも養育費の未払いが問題となっていますが、共同親権と養育費未払いの問題は別となっています。

課題が残ったまま船出

これらの問題への対応が不透明として、自民党の野田聖子議員は党の方針とは逆に反対しています。

法律の施行後5年をメドに見直しを検討するとしていますが、まだまだ不安な要素が残されているようで、「課題が多くある」と言う石塚委員。
父母が検討するのではなく、一方の親で単独親権に決める「急迫の事情」、つまり切羽詰まった事情について、どのような場合が急迫の事情に当たる判断基準か明確にされていません。

単独親権についても、当事者間で決められない場合は家庭裁判所が判断するとされています。しかし今でも「家庭裁判所のキャパシティがない」とも言われており、適切な判断ができるかが未知数です。
こうした状況を踏まえ、石塚は「基準と判断ができるかどうかのシステムづくりが相当求められるだろう」と評しました。

2021年の国会答弁を元に計算すると、裁判官1人あたり約500件もの事件を担当しているそうです。
ここからさらに親権に関する協議が増えると、忙しい中でDVなどに対する細やかな判断ができるのかどうか、難しいところです。
(岡本)
 
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2024年04月17日07時04分~抜粋

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