大石邦彦のNOW ON SHARE!

政治資金規正法の改正案を提出した自民党。与党内でも対立の理由

5月17日、自民党は政治資金パーティー裏金事件を受け、政治資金規正法の改正案を提出しました。
パーティー券購入者の公開基準額を巡っては、与党内でも意見が対立しています。

5月18日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーが政治資金規正法や政策活動費について解説します。

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自民党と公明党が「基準額」で対立

政治資金パーティー裏金事件を受けての今回の改正で議論の焦点となっていたのは「パーティー券購入者の公開基準額」でした。

大石「政党間で駆け引きが行われております」

これまで基準額とされていたのは「20万円」。
これに対し、急接近した立憲民主党と国民民主党は法案を共同提出する構えです。
一方、与党内では自民党が「10万円」、公民党が「5万円」と主張が対立していました。

与党内で意見が対立した理由は何なのでしょうか?
ある自民党議員によると、「基準額を下げすぎると、企業や団体が嫌がる」ことが理由だそう。

大石「こっそり自民党を支援している企業もあるじゃないですか?」

基準額をむやみに下げると、購入者を公開しなければなりません。
どの政党を支持しているかがバレてしまうため、企業や団体に「政党色」がついてしまいます。
それを避けると、企業側としては資金を提供しづらくなり、政党側としては資金集めが難しくなります。

過去には、自民党を陰で支持しつつ、民主党支持を公言していた企業のトップも。

大石「いわゆる『二股かける』ってやつですかね」

今回は「二股がバレる」ことを懸念したのかもしれません。
多額の政党交付金をもらっている自民党ですが、それでも足りないのが実情と大石。
この辺りが基準額対立の所以と見られます。

政策活動費の公開に踏み切らないわけ

また、「政策活動費」についての見直しも議論されています。
政策活動費とは、政党から議員個人に支出される政治資金のこと。

大石「選挙って、やっぱお金かかるんですよ」

衆議院議員よりも、選挙区の広い参議院議員の方が物入りだそう。
全域にポスターを貼るだけでも、莫大な人件費や燃料費がかかります。

選挙活動に必要な政策活動費ですが、裏金の温床になっていたため、「廃止」または「使い道を全て公開すべき」と強硬に主張する野党も。

大石「政策活動費をなくすか。政策活動費を存続させるんであれば、公開した方が良いんじゃないですか」

ただ、コピー代などの細かい事務所費の場合、全て領収書を取る必要があり、さらに何年か保管するとなると場所を取り、手間もかかる、と弁解する自民党議員。

大石「それも難しいんですよ」

こちらは致命的なデジタル化の遅れが響いているようです。

自らを縛る法律は難しい!?

ところで、政治資金規正法の改正に乗り気でなかった岸田政権が急に前向きになったのは、先月の補選がきっかけでした。

候補者を立てられない区が多く、候補を立てた区を含め、自民党は全敗。やむなく積極的に改正する方向に舵を切りましたが…

大石「議論の内容を見ていると、本気でやる気あるのかな?というふうに思いますよね」

そもそも、政治家が「自分自身を縛る法律」を作れないのは致し方ない、と一定の理解を示す大石。
大石自身も、自らに課した毎日ジョギングする習慣がなかなか守れない、と嘆きます。

大石「やっぱり甘くなるんですよ!ダイエット始めても、『今日くらいケーキいいかな』…と」

個人の生活習慣ならいざ知らず、国民を守り、国家の命運を握る政治家には矜持をもってほしいもの。
第三者が法律の原案を立てることを現実路線としつつ、何より国民の声をしっかり聞いてくれることを願う大石でした。
(nachtm)
 
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2024年05月18日11時43分~抜粋

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