大石邦彦のNOW ON SHARE!

日銀が17年ぶりにマイナス金利政策を解除。生活への影響は?

先週、日銀が17年ぶりにマイナス金利政策を解除したことを受け、大手銀行の普通預金の金利が20倍になりました。
私たちの暮らしにはどのような影響があるのでしょうか?

3月23日放送の『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーがマイナス金利政策の解除について解説します。

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20倍の金利とはいえ…0.02%

日銀(日本銀行)がマイナス金利政策を解除しました。

利上げは実に17年ぶり、マイナス金利の解除は2016年以来、8年ぶり。
世界的に異例な対応を続けてきた金融政策は、正常化に向けて大きく転換することになります。

大石「マイナス金利時代。ここ10数年、異常だったわけですね」

「銀行の銀行」の役割を果たす日銀。
本来は銀行から預かる当座預金に利子をつけるところ、逆に手数料をとっていました。
こうしたマイナス金利政策は、日銀へ預金すると損をしてしまう政策ですが、銀行が企業への貸出や投資に使うことを期待する狙いがあり、アベノミクスの一環でもありました。

大石「評価はさまざまですよね。検証をしっかりしてほしいと思いますが」

今後、マイナス金利が解除されると、私たちの暮らしはどのように変わるのでしょうか?

まず、預金の利息が増えるという分かりやすいメリットがあります。
これまで金利は0.001%で、100万円の預金につき、たった10円の利息でした。
今回の解除によって、金利は20倍の0.02%になり、100万円預けると200円の利息に。

大石「20倍というと聞こえはいいんですけども…元は0.001%ですから」

1億円の預金なら利息は2万円となり、大きな預金をしている人はメリットが大きくなります。
「それでも、6から8%の利息分で旅行に行っていた時代に比べればまだまだ」と大石。

住宅ローンの返済は負担増に

また、金利の上昇は良いことばかりではありません。
例えば住宅ローンの返済は変動金利の場合、当初の計算より増えるため、大きな負担として債務者にのしかかることになります。

さらに日米の金利差が縮まると、投資家が円を買うため、円高になる可能性も高まります。

大石「メリットで言えば、円高になると輸入品は安くなる」

全体的に物価も安くなりそうですが、一方でデメリットも。

大石「デメリットとしては…円高になると輸出産業は苦しくなりますよね」

日本経済を牽引する輸出産業。
自動車などのものづくりが占める輸出産業が厳しくなると、日本経済全体が苦しくなるのではないか、と予想する大石。

進まない中小企業の賃上げ

政策転換の理由について、「物価上昇」と「賃金上昇」を確認した上で金利を上げた、と日銀は発表しています。

確かに大手では今までにないくらいの賃金アップが見られるようです。一方、中小企業はどうでしょうか?

大石「賃上げがどこまで進むのか?これが確認できていないというか」

4%くらいは上がるという見方もありますが、どうなのでしょうか?
実態を探るべく、名古屋市内の中小企業を取材した大石。

現場から聞こえてきたのは「厳しい」「そこまで儲かっていないんですよ」という声。
その理由は金利が上がると、負債の返済額がそもそも増えてしまうこと。
また、お金を借りづらくなると、経営的にこれから厳しくなる見込みも。

大石「下請けだったりしますから、自分のタイミングで設備投資ができないわけですよ」

他方で、雇用確保や人材流出を防ぐためには、賃上げせざるを得ないというジレンマに陥っています。

大石「(賃上げをしないと)従業員も来てくれないということなんですね」

日本経済の命運を握る中小企業の賃上げがどこまで進むのか、政策転換後の動向に注目です。
(nachtm)
 
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2024年03月23日11時44分~抜粋

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