大石邦彦のNOW ON SHARE!

日経平均株価が初の4万円超えでも、好景気の実感がない理由

3月4日月曜日、日経平均株価が40300円台をつけて最高値を更新。
NASDAQが史上最高値を更新し、半導体銘柄に注文が殺到しました。

その一方で「好景気の実感がない」との声も聞かれますが、実態はどうなのでしょうか?

3月9日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーが、日経平均株価の最高値更新について解説します。

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最高値を下支えする「好調な企業」

3月4日月曜日、日経平均株価が40300円台をつけて最高値を更新。
NASDAQが史上最高値を更新し、半導体銘柄に注文が殺到しました。

大石「実感あるかってことですけど…実感ないでしょ。こんなの」

少なくとも自分の周りには誰もいない、と大石。
本当に経済は潤っているのでしょうか?

今回の最高値更新は一言でいえば、「好調な企業株」が買われたことが要因とみる大石。
あらゆる銘柄が買われているわけではなく、輸出が好調な自動車や半導体に偏っています。

パソコンやスマートフォン、デジタルカメラ、エアコンなどさまざまな電化製品に使われ、今や私たちの生活に欠かせない半導体。
かつて1980年代半ばに「半導体大国」と呼ばれた日本は当時、世界シェアの5割を保っていましたが、現在のシェアはおよそ10%に下がっています。

大石「『半導体を制する者が世界のものづくりを制する』と言われているんですね」
半導体の復権を目指し、気勢が上がる株式市場。

円安で日本株がお買い得に

また、株価上昇は半導体のみならず、半導体関連(半導体の検査装置のメーカー、素材を作っているメーカーなど)にも波及しています。

大石が思い起こすのは、1800年半ばにアメリカ西海岸で起きた「ゴールドラッシュ」。
当時「金」以上に売れたのは、採掘に用いるスコップ、つるはし、作業着でした。

大石「ジーンズはそこから人気を得た」

もとは作業着だったジーンズのメーカーも企業として大きくなり、ゴールドラッシュのおすそ分けにあずかって有名メーカーになりました。

ところで、日本株はどこの誰に買われているのでしょうか?
「実は海外の投資家に買われていることが好調の理由」と大石。

大石「なんで買うのかってとこですが…いま日本は円安ですよね?」

海外の投資家にとって「割安」に感じられる日本の優良株は、株価を押し上げる一因になっています。

実体経済を示す2つの指標

一見華々しいニュースのように見える最高値更新ですが「手放しには喜べない」と大石。
経済団体も「浮足立ってはいけない」と警告しています。

大石「そんなに喜ばしいニュースではないんだと」

今回の最高値更新とバブル経済のときの大きな違いは、何より実体経済を反映していないこと。
むしろ「景気の実感がない」ことを裏付ける2つの指標を挙げる大石。

ひとつめの指標は、所得から物価変動分を差し引いた「実質賃金」。
その数値を見ると、2023年は2.5%減少。22ヶ月連続マイナスで、ほぼ2年近く下がり続けています。

大石「物価の上昇に追いついていないんですよ。物価の方が高くなっているから、生活はより苦しくなっている。そういうデータが出ているんですよね」

もうひとつの指標はGDP(国内総生産)で、こちらもマイナス成長が続いています。
「個人消費が6割」と言われるGDPは、人々が物を買わないと上がらないため、実質賃金が上がらない現状では成長が望めません。

では、どうすればよいのでしょうか?
「このジレンマを解決するには、賃上げしかない」と大石は声を上げます。
現在、555兆円と言われている企業の内部留保を、今こそ社員のために使うべきと大石。

大石「(給料を)上げる余裕のある企業は、今こそ人材にお金を使ってほしい」

ここでお金を使わないと、経済は良くならないと呼びかける大石でした。
(nachtm)
 
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2024年03月09日11時44分~抜粋

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