大石邦彦のNOW ON SHARE!

能登半島地震で倒壊した建物の特徴とは?

元日に発生した能登半島地震から1ヶ月あまり経ち、被災地ではさまざまな検証が行われています。
倒壊の被害に遭った家屋には、どのような特徴があったのでしょうか?

2月10日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーが、地震による倒壊リスクの高い家について解説します。

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建物が倒れやすくなる3要素

最大震度7を記録した能登半島地震。2月7日時点で、石川県内では240人の犠牲者が確認されています。
亡くなった多くの方の死因が「建物の倒壊」によるものでした。

大石「どうすれば倒壊リスクを減らすことができるのでしょうか?」

防災の専門家と共に、能登半島のすべての市町を訪ねた大石。
その取材を通じて、3つの要素が重なると、建物は崩れやすくなることがわかったそうです。

ひとつ目の要素は、古い木造家屋にとって苦手な「揺れ」が起きたこと。
今回の地震の揺れの周期は1-2秒。古い家屋は長周期の揺れには弱かったようです。

2つめの要素は「地盤」。

大石「液状化の現象を目の当たりにしてきました」

住宅街が広がる石川県内灘町は「金沢市のベッドタウン」と言われています。

大石「ここで、今まで見たことのない光景を見てきました」

倒壊しやすい家屋の特徴

内灘町では建物が垂直に沈んでいたり、玄関や階段が沈み込んでいました。
こうした「液状化」によって、建物が倒れているところがいくつもありました。

大石「軽いものは地上に出てくる。重いものは沈み込む。びっくりしました」

軽いものでいうと、マンホールのふたが、背伸びしないと見られないほど飛び出していました。
逆に電信柱は沈み込み、信号機が地上から手が届く高さになっていました。
さらに地盤が緩いところでは、家が1-2メートルも沈んでいました。

大石「建物自体が倒壊している現場をいくつも見てきました」

2階の重みで潰れた家、道路側に倒れている家など、倒壊している家屋が何百軒もあったと大石。

そして、3つめの要素となるのが「建物の作り」。総じて倒壊していたのは「屋根が重い家」でした。

大石「古い瓦屋根の家ですね」

現在では軽量化されている瓦も増えていますが、この地方ではひとまわり大きく重い「能登瓦」が使用されていたため、重みに耐えかねて潰れている家が見受けられました。

さらに軒並み倒れていた昔ながらの木造家屋の特徴は「壁が少ない」こと。
ドアに面している開口部が大きい建物ほど、倒れていました。

他の特徴としては、柱と柱の間に斜めに入っている「筋交い」がなかったり、少ないこと。
また、木材と木材の接合部分が金物になっていない場合、そこから柱が折れていたそうです。

建築年代で変わる耐震基準

年代別にみると、倒れていた木造家屋の多くは、1981年以前に建てられたもの。
見た目では築50年は経ている建物で、古い耐震基準の元に建てられた家屋です。

また「2000年以前に建てられた建物も要注意」と大石。耐震基準が再び変更されたためです。
現在の耐震基準では「耐力壁」が入っていたり、木材と木材の接合部分に金物を使用しており、建物が壊れにくい構造になっています。

大石「1981年以前に建てられた家にお住まいの方は、注意してください」

無料の耐震診断、そして場合によっては耐震補強が必要です。
耐震補強には200-300万のコストがかかりますが、命には変えられません。
最大3分の1の補助金も出るようです。

自身の防災意識を高めるとともに「能登半島の方々を長く支援できるように頑張りましょう」と呼びかける大石でした。
(nachtm)
 
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2024年02月10日11時43分~抜粋

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