大石邦彦のNOW ON SHARE!

各地で検出される「永遠の化学物質」PFAS。汚染はどう対策?

フライパンのコーティング材や、コンピュータの半導体などに使用されている「PFAS」(有機フッ素化合物の総称)。

最近PFASによる水道水の汚染が見つかり、人々の生活に影響が出ているようです。

12月2日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーがPFASの問題について解説します。

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身近なところで使われているPFAS

各地の井戸水などから検出されて、自治体が調査や対応に追われているPFAS。
東海エリアでも愛知県や岐阜県で検出されています。

大石「汚染源はどこなのか?我々の身体への影響はどうなんでしょうか?」

人工的に作られたPFASは、水や油を弾き、熱に強いという利点があります。
フライパンのコーティング材や、コンピュータに使われる半導体、包装紙、防水服、泡消火剤などに使用されています。

大石「我々の生活にも、非常に馴染みのある化学物質と言っていいんですよね」

厄介なのは、発がん性が指摘されていること。
そして、自然界で分解されにくく、蓄積しやすい性質をもつこと。
そのため「永遠の化学物質」(フォーエヴァー・ケミカル)とも呼ばれています。

PFASには1万以上の種類があるそうですが、中でも国際的に製造や試用が禁止されているのがPFOS、PFOA、PFHxSの3種類です。
禁止された理由は「人体に悪影響があるのでは」との疑いがあるため。
乳幼児の発育の低下のおそれや、コレステロール値の上昇といった悪影響が指摘されています。

米軍基地周辺から検出

PFASが検出された地域を取材した大石。
水道水からPFASが出てくる可能性があるため、ペットボトルの水に切り替えたお宅もあり、毎週10リットル以上の水を購入しているそうです。

大石「結構飲み水に使うんですよね」

水の代金で1ヶ月に6万円近くもかかっており、浄水器の利用を検討しているそうです。

そもそも、どうしていまPFASが注目されているのでしょうか?
最近PFASが見つかったのは、東京都の横田基地の周辺や、沖縄県の米軍基地の周辺です。

大石「近くの川が泡まみれになってるんですよ」

水源地近くでは、50センチくらいの大きさの真っ白な泡が浮いていました。

大石「実はPFASだったっていうのがわかったんです」

以来、PFASの調査が本格的に始まったのです。

汚染源は飛行場や基地の地下?

愛知県では豊山町に自衛隊の基地や名古屋空港があります。
PFASのリスクについて、専門家の原田浩二准教授(京都大学)は、「豊山町では30年経ってもPFASが残存する可能性がある」と指摘。

どうやら、PFASは飛行場や基地の地下から発生している可能性があるようです。
「PFASは半導体の製造工場周辺でも検出されている」と大石。

では、どのような対策が考えられるのでしょうか?
2019年に行われた調査によると、13都道府県の37地点の水道水で、国の基準を上回る数値でPFASが検出されています。

大石「この調査を全国で一斉に、徹底的にやってほしいなと思います」

基地や工場周辺以外にも「近くに水源がある場合は、川や井戸の水も調べてほしい」と大石。

もうひとつの対策として、大石は「基準の見直し」を挙げます。

現在のPFASの濃度の基準は、1リットルあたり50ナノグラム(1ナノグラム=10億分の1グラム)。
小さじ1杯もないくらいの量ですが、国際的にはこれでも多いそう。
ちなみに、アメリカの基準は1リットルあたり4ナノグラムとなっています。

飲料水の安全を守るべく、日本の検査基準も見直す時に来ている、と提言する大石でした。
(nachtm)
 
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2023年12月02日11時44分~抜粋

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