大石邦彦のNOW ON SHARE!

イスラエルとハマス、世代を超えて対立が続く理由は?

パレスチナ自治区・ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」の攻撃によって、50年ぶりに戦争状態となったイスラエルとパレスチナ。

10月21日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーが戦争状態に陥った背景をわかりやすく解説します。

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天井なき監獄

今月7日、パレスチナ自治区・ガザ地区のイスラム組織「ハマス」が攻撃を仕掛け、「100人以上のイスラエル人をガザ地区で人質にしている」と声明を発表しました。
17日夜、イスラエルは報復措置としてガザ地区の病院を空爆し、患者や避難民など約500人の死者を出す被害となりました。

大石「どうしてこのようなことが起きたのか?宗教も、政治も、歴史も絡んでくる。複雑な連立方程式みたいな問題なんですよ。説明するのは難しいんですが…」

パレスチナ人が居住するガザ地区は種子島ほどの面積で、約200万人が暮らしています。

大石「名古屋市くらいの広さに、名古屋市くらいの人口がある」

名古屋市と決定的に違うのは、こどもの数がとても多いこと。
「天井なき監獄」と言われるとおり、周囲はフェンスで囲まれ、国境は一直線。
幅5km、縦50kmの狭いエリアに人々が密集しています。

ガザ地区を2007年より実効支配しているのが、イスラム原理主義の政治組織ハマス。
イスラム原理主義とは、平たくいうとイスラム教を元にして国を作りたい人たちのことです。

バイデン大統領訪問の理由

ハマスがイスラエルにロケット弾を打ち込むのは、これまでも頻発していましたが、攻撃し人質をとったのは異例の事態で、戦争状態の発端になりました。

大石「戦争状態の宣言というのは、50年ぶりです」

50年前、1973年の第四次中東戦争以来の大事件です。
ちなみに、ユダヤ人によるイスラエル建国直後の1948年に第一次中東戦争が発生し、4度に渡る戦争では、いずれもイスラエルが勝利しています。

気になるのは、この戦争状態に対する他国の反応。
18日、アメリカのバイデン大統領はイスラエルのテルアビブを訪問し、ベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談しました。
なぜバイデン大統領はイスラエルを訪問したのでしょうか?

歴史を紐とくと、古代パレスチナの地にあったのはユダヤ人の王国でした。
約2000年前にローマ帝国との戦争に敗れたユダヤ人は世界各地に散らばり、迫害を受ける中で賤業として知られた高利貸しでなんとか生計を立てます。

莫大な富を得たことで、時の権力者をバックアップし、やがて国家の重要な地位を占めるようになったユダヤ人。

現在のアメリカでは、国内に500万人以上いるユダヤ人を敵に回すと「大統領選挙に勝てない」とまで言われています。

大石「だから、バイデン大統領はイスラエルに行くわけなんですよ」

懸念される周辺への影響

イスラエルのバックにはアメリカがいる一方、パレスチナのバックにはイランなどのアラブ諸国がついています。
戦線拡大が懸念されるのは、アメリカとイランの対立構造が透けて見えるためです。

大石「代理戦争みたいなところがあって。イスラエルと見せかけてアメリカ。ハマスとみせかけてイラン」

湾岸戦争や9.11同時多発テロの勃発も、”パレスチナ解放”が根本にあったとされています。

大石「イスラエル、アメリカ対アラブ諸国という構図はずっと続いている」

仮に中東戦争が勃発した場合、まず心配されるのは、原油価格の高騰。
原油のおよそ9割を中東に依存している日本にとって、大きな経済的影響があります。

もうひとつの懸念は、いまだに続くウクライナ問題。

大石「(アメリカは)2つの方面を支援しないといけない。空いたスペース、どこですか?アジアなんです。アメリカの力が及ばなくなる可能性がある」

先日行われたロシアと中国の首脳会談も緊張を高めています。
アメリカの監視が手薄になることで、台湾有事の可能性をも懸念する大石でした。
(nachtm)
 
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2023年10月21日11時43分~抜粋

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