大石邦彦のNOW ON SHARE!

新型コロナワクチン接種後死亡事例の調査結果が公表される

昨年秋、新型コロナワクチンの集団接種会場で愛西市の女性が死亡した事案について、調査委員会から「ヒューマンエラーや現場体制などに問題があった」との報告がありました。

9月30日放送の『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、大石邦彦アナウンサーが調査結果についてわかりやすく解説します。

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調査委員会が最終報告書を公表

昨年11月、愛知県愛西市の集団接種会場で42歳の女性が死亡しました。

これを受け、9月26日に市の医療事故調査委員会から「アナフィラキシーショック(アレルギー反応の一種)を起こした可能性が高い」と指摘する最終報告書が公表されました。

さらに、調査委員会は「アドレナリンを投与していたら死亡せずに済んだかもしれない」との結論を出しています。

公表された75ページの調査報告書にすべて目を通したうえで、2時間に及ぶ会見を傍聴し、委員長に疑問を投げかけたという大石。

大石「報告書を紐解いていこうと思います。事故の原因、再発防止策、もっというと死因は何だったのか?」

女性には基礎疾患がいくつかあったため、積極的にワクチン接種を受けることを望んでいました。
この日は四回目のワクチン接種で、体調に問題はありませんでした。

接種7分後、咳が出た女性は救護室に運ばれた後、呼吸困難を訴え、救急要請されます。
心肺蘇生を受けるまで接種からおよそ15分の出来事で、急速に症状が進行していたと大石。

指摘された現場の判断ミス

今回の報告では「アドレナリン投与で助かったのではないか」と結論づけられましたが、どうしてこのような、あってはならない事態が起きたのでしょうか?

調査委員会が原因として挙げたのは、ヒューマンエラー、コミュニケーションエラー、接種会場の不備の3点です。

まず、最も重要な「アナフィラキシーの可能性が高いと判断するかどうか」について、ヒューマンエラーがあったとしています。

当時、現場の医療体制は、内科医2名と看護師9名。
看護師や保健師の中には、20年以上のいわゆるベテランの方も含まれていました。
一方、医師のキャリアはベテランではなかったようです。

女性の急変を診た現場は「アナフィラキシーの症状ではない」と判断。
しかしながら、ある看護師はアナフィラキシーの可能性を考慮し、アドレナリン注射の準備までしていたそうです。

もっとも、看護師の独断でアドレナリンをうつことはできないため、最終的には医師の投与指示を仰ぐ必要があります。
また、準備をしていた看護師も、投与を促す提案をしていなかったようです。

大石「この辺のコミュニケーションエラーがあったのではないか」

緊急事態の想定と情報共有を

コミュニケーションエラーの原因として考えられるのは、医療スタッフたちが普段からの顔見知りとは限らないことです。

初めて顔を合わせるような希薄な関係性が、コミュニケーションエラーにつながったのかもしれません。

また、医療設備の不備もありました。
一定の力をかける心臓マッサージの際に、簡易ベッドが柔らか過ぎたため、床の上で行っていたことが指摘されています。

こうした接種会場の不手際を含め、複数の改善点が指摘された今回の調査報告。
その他の再発防止策として、アナフィラキシー対応の想定と徹底、チーム内の情報共有が挙げられています。

大石「『緊急時はこういうふうにしましょうね』と。どうやら愛西市のあの会場では、あまり十分ではなかったということなんですね」

現在も目下、令和5年度の秋接種が行われています。
「厚生労働省は、今回の調査結果をすべての医療機関や接種会場に通達してほしい」と呼びかける大石。
悲痛な事故を再び起こさないために、いまいちど緊急対応の確認と情報共有の徹底が望まれます。
(nachtm)
 
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2023年09月30日11時44分~抜粋

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