大石邦彦のNOW ON SHARE!

教育機関に導入が急がれる「日本版DBS」。どんな制度なのか?

幼稚園や学校など教育機関で、性犯罪歴のある関係者が再犯を繰り返すことが問題になっています。
それを防ぐため、政府では「DBS」という新制度の導入が検討しています。

9月23日放送の『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、大石邦彦アナウンサーが「日本版DBS」 について解説します。

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報道する側にはジレンマも…

「DBS」は英国内務省が所管する非部門の公的機関で、日本で導入が検討されているのは「日本版DBS」というべきもの。

DBSとは、「ディスクロージャー(情報開示)&バーリング(職業を制限)サービス」のこと。
データベースで確認することで、過去に性犯罪歴のある人物をリスト化し、就労を制限することが目的です。

日本政府では臨時国会への法案の提出を見込み、早ければ2025年度中の運用開始を目指しています。

DBSが取り上げられる背景には、こどもへの性犯罪の再発防止策が講じられてきたのに、教員などの再犯が後を絶たないことがあります。
ただ、国内では「DBSは憲法に触れるのではないか?」という指摘もあるようです。

大石「こどもの性犯罪は発覚しづらいっていう面もあるんですよね。小さいこどもさんはうまく説明できない」

被害者が小学校中~高学年になっても、気づいた時には加害者に支配されており、抗えない状況になっており、問題がなかなか表立って見えてこないと大石。

大石「我々報道する側もジレンマを抱える時がある」

性被害者が児童の場合、教員の実名を報道すると、場合によっては学校が特定されることも。
挙句の果てに、被害児童が特定されるリスクが二次的な問題になります。
このため、性犯罪者が社会的制裁を受けづらいことが悩みの種だったのです。

DBSは公的な教育機関が中心

再犯事例としては、2017年に教え子ら5人にわいせつ行為をした愛知県内の小学校の臨時講師のケースがあります。
実は2013年にも、埼玉県の小学校教諭時代にわいせつ容疑で逮捕されていました。
処分歴を隠して再採用されていたため、再犯を防げなかったのです。

大石「こういうことがあるわけですよね」

現在のところ、DBSの導入が検討されているのは、学校・保育所・幼稚園など公的な教育機関が中心。
そのため、塾・スイミングクラブ・スポーツクラブなど民間の機関にも広げていくべき、との指摘も相次いでいます。

こどもに関わるすべての職業について制限してほしい、と願うのは親心ですが…

大石「なかなかそこまでは及ばない、というところになりそうなんですね」

ちなみに、DBS発祥国のイギリスではこの制度を2012年に開始。
こども・高齢者・障害者など、社会的に弱い立場の方々に関わる人は、就業の際にDBSをクリアする必要があります。

大石「しっかりとチェック機能を果たす、と」

アメリカはもっと過激です。性犯罪者にはGPSの装着まで法で義務付けられています。
さらに学校の近所には住めないなど、住所の制限がある州も。

大石「アメリカですよねぇ」

ライブ配信による防止策も登場

また、保育施設で職員が暴行を繰り返していた事例もあります。
このため「DBSは性犯罪以外にも裾野を広げるべき」という声もあります。
ただ、再発防止はもちろんですが、初犯の防止こそが大切です。

大石「初犯を防ぐためにはどうすればよいのか?」

大石が取材した保育園では各部屋に防犯カメラを設置し、保護者にライブ配信していました。

大石「保護者はいつでもどこでも、自分のお子さんがどういう指導を受けているのか、観ることができる。すごくないですか?」

保育士はいわば監視されている立場になるため、常にピリッとせざるを得ません。
室内のカメラ設置は初犯を防ぐひとつの手立てになるのでは、と期待を寄せる大石でした。
(nachtm)
 
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2023年09月23日11時43分~抜粋

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