大石邦彦のNOW ON SHARE!

4年後の初公判!「京都アニメーション放火事件」裁判の争点は?

今月5日「京都アニメーション放火殺人事件」の初公判が京都地裁で行われました。
2019年7月の発生から4年、全身やけどを負った被告も出廷した裁判に、世間が注目しています。

9月9日放送の『大石邦彦のNOW ON SHARE!』(CBCラジオ)では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーが裁判の争点について解説します。

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初公判に4年を要した理由

2019年7月に18日に発生した「京都アニメーション放火殺人事件」では、社員36人が死亡、32人が重軽傷。
戦争を除けば、明治以降の事件で国内最多の犠牲者数を出した、あまりにも衝撃的な事件でした。

事件から4年を経て、青葉真司被告に対する事件の初公判が京都地裁で行われました。

大石「被告は一体何を語ったのか?事件の焦点はどこなのか?問題点を整理していきます」

初公判がこれだけ遅れたのは、青葉被告自身が9割に及ぶ全身やけどを負い、回復に相当な時間がかかったことが大きな理由でした。
持っていたウエストポーチの部分だけ、皮膚が火傷を免れていたため、その部分の移植などによって一命をとりとめたそうです。
 

ポイントは「妄想」

裁判の最大の争点は、刑事責任能力の有無です。

大石「ポイントとしては、”妄想”です。これがキーワードになります」

青葉被告には「京アニに自身の小説を盗まれた」との妄想があったとされますが、検察側は
犯行動機は「筋違いの恨み」であり、「妄想に支配された犯行ではなかった」と主張します。

一方、弁護側は妄想が犯行に圧倒的に影響を与えたことを根拠に、心神喪失の状態で無罪、あるいは心身耗弱の状態で減刑にすべきと主張しています。

青葉被告は罪状認否では犯行の事実を認めたものの、「こんなに亡くなるとは思わなかった。やり過ぎた」とも話しているようです。

放火・殺人・建造物侵入・殺人未遂・銃刀法違反といった罪に問われている青葉被告。
今月から来年1月末まで、異例の長期間の審議が行われる予定です。

青葉被告の生い立ち

大石が注目しているのは、青葉被告の生い立ちです。

こどもの頃に両親が離婚。青葉被告を引き取ったのは父親ですが、後に死亡します。

大石「ですから早い段階で孤独だったわけです」

さらに2008年頃、リーマンショックの煽りで派遣切りに遭います。

大石「犯罪に手を染めてしまったんですね。コンビニ強盗を行ってしまいます」

実刑判決を受け、2012年頃、服役中に”精神疾患”の診断を受けます。
服役を終える頃に設定した目標は、作家になることでした。
2作品を完成させ、送付したのが京都アニメーションでした。結果は落選でした。

大石「彼にしてみれば、逆恨みの原因になっていくわけですよね」

事件直前には近隣トラブルを起こしており「事件を引き起こすまでの間に、本人が孤立していく様が見てとれる」と大石。

大石「彼の境遇をみていくと、もしかしたら今回の事件を起こした原因が少し見えてくるんじゃないかと思ったんですね」

凶悪事件が起こる背景

ここまでは個人の生い立ちですが、社会背景も事件と無関係ではなさそうです。

大石「最近で言いますと、いろんな凶悪事件が起きてますよね」

2021年、大阪のクリニックの放火殺人事件で26人が犠牲になりました。
同年には電車内での無差別殺傷事件があり、今年6月には長野県で警察官ら4人が猟銃で殺害される事件もありました。

無関係のように見えるこれらの事件は、「誰でも良かった」という短絡的で身勝手な動機によって一本の線で繋がります。

大石「どこかの段階で止めることは出来なかったのか?手を差し伸べることができなかったのか?」

事件を起こす頃方は、生活支援さえ受けていなかった青葉被告。
本事件では36人の方々が殺害されていますが、その何倍もの遺族の人生が滅茶苦茶にされています。
青葉被告がこの裁判でその重みをしっかりと感じることを望む大石でした。
(nachtm)
 
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2023年09月09日11時45分~抜粋

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