大石邦彦のNOW ON SHARE!

酪農が大ピンチ!日本の食料自給率はなぜ上がらないのか?

今月7日、農林水産省は2022年度の日本の食料自給率が「38%」だったと発表しました。
長年「低い」と言われ続けてきた食料自給率ですが、最近は特に畜産・酪農がピンチに陥っています。

8月26日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、CBC論説室の大石邦彦アナウンサーが食料自給率の低下について解説します。

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2000年にはすでに低水準に

今月発表された食料自給率は、2020年度の過去最低水準「37%」から下げ止まってはいるものの、政府が立てている「2034年度に45%」という目標には程遠い状況です。

大石「依然として低い水準にある日本の食料自給率。このまま上がらないとどうなってしまうのか?」

食料自給率は「ひとつの国で消費される食料のうち、その国で生産されている物の割合」を指します。
もともとは非常に高かった日本の食料自給率。

大石「戦後間もない1946年はおよそ90%です」

およそ50年前にあたる1965年でもおよそ70%はありました。
ところが、2000年頃には約40%まで下がり、昨年度の38%までほぼ横ばいです。

G7の海外諸国では、カナダが233%、アメリカが121%、フランスは131%と100%を軽く超えています。
さらに工業国のイメージが強いドイツでさえ84%あります。
また、日本と同じ島国ではイギリスが70%、イタリアが58%です。

こうして比較すると、日本の食料自給率の低さは際立っているといえます。

動物の食料自給率も低い!?

次に、品目別でみると、米は99%、野菜は79%、魚介類が54%。

大石「問題はここからです」

小麦は16%、大豆は25%です。

大石「低いですねぇ…納豆とか僕、毎日食べてますけど、国産の物ってなかなかないですもんね」

また肉類を見ると牛肉が35%、豚肉が50%、鶏肉が64%。牛乳・乳製品は59%です。

これらの数字を見ると、まだまだ大丈夫のように思えますが、実は家畜のエサもほとんど海外産です。
国内のエサで育ち、国内で生産された牛肉で自給率を計算し直すと、わずか9%にしかなりません。

大石「牛肉9%ですよ?」

同様に計算すると、豚肉6%、鶏肉8%、牛乳・乳製品25%という結果に。

大石「つまり、ほとんど海外のエサで賄われているんですよ」

人間だけでなく、動物たちも海外の食材に頼っていることがわかります。

ちぐはぐな酪農政策

しかも、日本の畜産・酪農はいま大ピンチの状況に陥っています。

大石「深刻な問題がありましたよね。社会現象になりました。2014年にスーパーの棚からバターが消えたってこと、ありましたもんね」

以前、設備投資をした農家に国が補助金を出したことで、酪農家が増加しました。

大石「規模を拡大していったんですね」

ところがコロナ禍になると、平時に比べて乳製品の利用が減ってしまいました。
さらに、ロシア-ウクライナ戦争や円安が追い打ちをかけ、エサ代が高騰。飲まれなくなった牛乳を廃棄せざるを得なくなり、仔牛価格も下落してしまいました。

その結果、2023年4月時点で、赤字になっている農家がなんと85%にも上るそうです。

大石「非常に厳しい状況」

今年3月からは、増えすぎた乳牛の頭数を是正するため、処分の際に「1頭あたり15万円」を交付しています。
これを機に、特に高齢者の方々が廃業しているそうです。

大石「おかしくないですか?食料自給率を上げたいんじゃないんですか?」

廃業をむしろ後押しするような政策には疑問符がつきます。
一旦廃業してしまうと、再度増やす必要が生じても、急に増やせないと大石。

大石「45%なんていう自給率は難しいんじゃないかな」

霞が関の担当者は現場に行き、農家の声を直に聴いて政策に反映してほしい、と訴える大石でした。
(nachtm)
 
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2023年08月26日11時45分~抜粋

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