大石邦彦のNOW ON SHARE!

32番目の国にスウェーデンが加盟。NATOは今後どうなる?

7月10日、スウェーデンのウルフ・クリステション首相とトルコのタイップ・エルドアン大統領が会談し、スウェーデンのNATO加盟に難色を示していたトルコが同意しました。

一方、なかなか実現しないのはウクライナの加盟です。

7月15日放送の『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、大石邦彦アナウンサーがNATOの成り立ちと今後の見通しについて分かりやすく解説します。

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目まぐるしく変わるNATO情勢

ウクライナの加盟も検討されているNATO(北大西洋条約機構)。
先週、32番目となるスウェーデンの加盟にトルコが同意しました。

大石「トルコが土壇場で同意しましたよね。同意すると思ってたんですよ」

目まぐるしく変わるNATO情勢、今後どうなっていくのでしょうか?

1949年に作られたNATO。当初はアメリカ・イギリス・フランスなど、12カ国の西側諸国が中心でした。
対するは、旧ソ連を中心とした東側諸国のワルシャワ条約機構。

大石「西と東。東西の冷戦が背景にあったわけですね」

ところが、1991年に旧ソ連が崩壊すると、それまで支配下にあった東側諸国が次々にNATOに加盟していきます。
2004年にバルト三国(リトアニア・エストニア・ラトビア)、2009年にアルバニアとクロアチア、2017年にモンテネグロ、2020年に北マケドニアが加盟。

さらに、今年4月にはフィンランドが加盟しています。
隣国ロシアとの国境が1300キロにもわたるフィンランド。

大石「日本国内でいうと、東京と鹿児島くらい。そのくらい国境、接しているんですよ」

集団的自衛権と加盟国の思惑

そしてこのたび、スウェーデンの加盟が確実に。
ロシアのクリミア半島併合後、スウェーデンでは徴兵制が復活し、ずっと準備を進めていました。

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領もNATO首脳会議に参加していますが、加盟は未だ認められていません。

大石「NATOの集団的自衛権、これがあるからなんですね」

「集団的自衛権」とは、加盟国が武力攻撃を受けた場合、全ての加盟国に攻撃したとみなし、皆で一緒に攻撃された国を守ろうとする権利です。

大石「なんでウクライナをNATOに入れないの?」

仮にいまウクライナが加盟すると、この集団的自衛権の行使によって、NATO加盟国は自動的にロシアと戦う羽目になります。
そのことは事実上、”第三次世界大戦”への突入を意味します。

最悪の場合、ロシアがヨーロッパで核兵器を使う可能性さえあり、どの国もそうした事態を避けたいのが本音です。

東京事務所開設が反対された理由

東西に長く広がるウクライナ。ロシアにとっては、これまで”緩衝地帯”のような存在でした。

大石「(ウクライナまで)NATOになってしまうと、ロシアとしては、喉元に剣を突きつけられている状況になってしまう」

ウクライナの加盟は2008年の段階で合意していましたが、結局、15年経った今も進展していません。

大石「しばらくは加盟できないんだろうな、と」

今回の首脳会議で明らかになったのは、NATO成立当時の東西冷戦の構図はガラッと変わったことだと大石。
現在の対立軸は、「西側諸国」対「ロシアと中国」へと変貌しています。

NATOのパートナー国である日本も無縁ではありません。
最近、フランスに反対されたNATO東京事務所の設立。
背景には、フランスと中国が懇意になっていることがあるようです。
このように、対立構図はかつてのように単純ではなく、複雑化しています。

フィンランドやスウェーデンの加盟によって、NATOに外堀を埋められつつあるロシア。

大石「ロシアを追い込むことは、はたして得策なんだろうか?」

国際情勢が今後どのように変わるにせよ、伝え聞いた戦争の悲惨さへの反対をしっかり訴え続けたいとする大石でした。
(nachtm)
 
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2023年07月15日11時44分~抜粋

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