大石邦彦のNOW ON SHARE!

発生は避けられなかった?陸自射撃場発砲事件の背景

6月14日、岐阜市の陸上自衛隊の日野基本射撃場で、実弾射撃訓練中に18歳の自衛官候補生が指導にあたっていた隊員3人に小銃を発砲。2人が死亡、1人がけがをしました。

なぜ事件は起こってしまったのでしょうか?

6月17日放送の『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、大石邦彦アナウンサーが事件の原因と防止策について解説します。

[この番組の画像一覧を見る]

自衛隊員が自衛隊員を…

大石「現場周辺の方々も本当驚いたことだと思います。あってはならない事件が起きてしまいました」

逮捕されたのは18歳の自衛官候補生の男で、合わせて4発の弾を発射しました。
撃たれた3人のうち、「52歳の教官が狙いだった」と男は供述しています。

大石「自衛隊員が自衛隊員を…なぜ?」

放送の時点では不明な点も多いですが、ここまでわかっていることをまとめる大石。
自衛官候補生は入隊して3ヶ月間、自衛隊のイロハを学びます。ちなみに候補生の手当は14万円あまりだそうです。

大石「平たく言うと仮採用みたいな感じですかね」

勤務地は名古屋市の守山駐屯地で、今回の事件は訓練を受けている最中に起きたことになります。

起きるべくして起きた?

実際に訓練を受けた元自衛官に話を伺った大石。
この期間は今後の自衛隊人生を送る上で、規律などを学ぶ大切な時期に当たるそうです。

大石「”基本のキ”を学ぶ時期なんだということなんですね」

したがって、教官はあえて厳しく接することがあるようです。

大石「少年はその厳しさをどう受け取ったのか?」

このあたりが動機解明のポイントになりそうですが、防衛大学の准教授・色川喜美夫さんは事件の一報を聞き、「やっぱり起きたのか」という印象だったそう。
「起きるべくして起きた」と重い言葉を投げかけます。

叱られた経験の少ない今どきの学生は、ストレスがたまりやすいとの見解を示す色川さん。
色川さんがかつて注意した際も、注意された学生は立腹し、その場を立ち去ったそう。
こうした経験が何度かあったことから、色川さんは「僕らが教育を受けた時とは、もう違う時代になったんだな」と話しています。

時代の変化に対応できる組織体制に変化できていなかったことが、事件の背景にあるのかもしれません。

再発防止のための対応策は?

だとすれば、候補生の段階で銃を持たせるのはまだ早かったのではないか?と首を傾げる大石。

河野克俊統合幕僚長によると「候補生であっても基本動作を身につけさせることは必要」との見解。

大石「これは必要な訓練だということなんですね」

ただし「今回の事件は重く見なければならない」と語る河野統合幕僚長。
何らかの兆候を見逃さないようにすること、話し合いによって隊員ひとりひとりの心情を把握すること、銃を持たせる前に心理テストなどを含めた厳格な審査をすることが再発防止につながるといいます。

ちなみに、自衛隊でのこのような事件は今回が初めてではなく、1984年にも山口県で似たような事件が起きています。
当時21歳の自衛官の男が小銃を発射し、1人が死亡、3人が重軽傷を負いました。
この事件では、容疑者が心神喪失状態と判断され、不起訴処分になっています。

大石「ただ、心神喪失な人に銃を持たせていいの?」

自衛官候補生にも厳格な審査がなされることを望む大石。
ともあれ「武器を持つ組織が武器で事件を起こしてしまったことは、社会的影響が大きい」と河野統合幕僚長。

折しも、自衛隊の人員不足が問題になっていますが、今後はこうした事件が起きることも想定しなければならないようです。
(nachtm)
 
大石邦彦のNOW ON SHARE!
この記事をで聴く

2023年06月17日11時43分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報