大石邦彦のNOW ON SHARE!

感染症対策の拠点「日本版CDC」設置法成立。何がどう変わる?

3年以上に及んだコロナ禍。
新型コロナウイルスという未曾有の事態に見舞われた経験から、5月31日に「日本版CDC」とも呼ばれる「国立健康危機管理研究機構」設置の関連法が成立しました。

感染症の専門機関が新たに設置されると、いったい何が変わるのでしょうか?

6月10日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、大石邦彦アナウンサーが日本版CDCについて解説します。

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CBCと間違いやすい「CDC」

「国立健康危機管理研究機構」、通称「日本版CDC」は文字通りアメリカのジョージア州アトランタにある連邦政府の機関CDC(疾病対策センター)がモデルになっています。
感染症に関する科学的知見を提供する組織として発足する予定です。

近年は新型コロナウイルスだけでなく、新型インフルエンザウイルスやSARSなど感染症の発生頻度が高まっています。
今回の設置法成立をきっかけに、より一層感染対策を強化していく方針です。

大石「このCDC、映画とかコロナ禍にはよく聞いたことあるんじゃないですかね」

滑舌が悪いと、”CBC”と間違えられてしまうことがあった、と苦笑する大石。
DVDのことを今でも「デーヴイデー」と言う方もいるそうですが、”ディーではなく”デー”とあえて発音する方が、区別しやすいかもしれません。

ところで、今回設立されるのは、全く新しい機関というわけではありません。
基礎研究を行う「国立感染症研究所」と、臨床医療を担当する「国立国際医療研究センター」という既存の2つの組織を併せたものとなります。

大石「この2つを統合しよう、そして日本版のCDCを作ろう、ということなんですね」

杜撰な対応を反省材料に

日本版CDCの役割には、医療の提供・疫学調査・臨床研究・人材育成が含まれます。
「国立健康危機管理研究機構」でトップを務める理事長は厚労大臣が任命され、創設は2025年度以降になります。

思い起こせばコロナ禍初期は、感染状況の把握やPCR検査の遅れ、医療体制の整備、ワクチンの研究開発の遅れが次々に取り沙汰されました。
杜撰な対応を重ねた結果「アメリカを見てみろ」「アメリカのCDCを見習うように」という声が上がったものです。

大石「でも、よくよく考えてみると…アメリカの感染者より日本(の感染者)は少なかったんですよね」

また、官庁内でも内閣官房で組織されていた「対策推進室」と、厚労省の「対策推進本部」に行政権限が分かれていたことも問題でした。
前者は行動制限などを行い、後者は医療提供体制などを整えていた組織です。

大石「実は行政の縦割りで2つあったんですよ。これも一元化しようと」

専門家の育成が課題

このように、複数の問題解決が期待される日本版CDC。
ただ、ここで大石は懸念を示します。

大石「心配なことがあるんですよ。こういう箱を作った時に、本当にうまくいくのかなってところありません?」

それは、こども家庭庁やデジタル庁のようにヒューマンエラーが多く、うまく機能しない名ばかりの組織になってしまうのではないか?という懸念です。

大石「箱は作ったけど、大切なのは人材なんじゃないかな。日本に本当にエキスパートがいるかどうか」

日本にはもともと感染症の専門家は少なく、突如やってきたコロナ禍に対して、専門外の方々がその穴を埋め合わせていました。
医学の進歩とともに感染症の恐ろしさは近年忘れられていましたが、これからどのように専門家を育てていくのか改めて考えなくてはなりません。

それとともに、専門家が政府の言いなりではなく、政府に物申すことができる自律性をもつことを望む大石でした。
(nachtm)
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大石邦彦のNOW ON SHARE!
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2023年06月10日11時44分~抜粋

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