大石邦彦のNOW ON SHARE!

働き方改革の副作用で物流が滞る!近づく「2024年問題」

2024年4月、自動車運転業務の労働時間に上限規制が設けられることになりました。
いわゆる「働き方改革」の一環ではありますが、これにより物に影響が出ると見られています。

4月29日放送の『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、大石邦彦アナウンサーがこの「2024年問題」について解説します。

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「早い・丁寧・正確」の裏側

2024年4月1日以降、働き方改革関連法によって、ドライバーの労働時間の上限規制が設けられます。
労働時間の減少に伴い、ドライバーの賃金減少も懸念されます。

大石「働き手が不足して、物流が滞ってしまうんではないか?っていう心配もあるんですよね」

貨物運送業界は、陸運・海運・空運に分類されます。
海外では「送ったお皿が割れていた」という話をよく耳にしますが、日本の運送業は「早い・丁寧・正確」が3拍子揃っていると、世界的にも高く評価されています。

ただ、大石が現場の声を聞くと…返ってきたのは「ブラック」という言葉。

大石「ポチったらその日の夜に届くことないですか?」

AmazonなどのECサイトで宅配を頼むと、朝頼んだ商品が早ければその日のうちに届くことも。

大石「僕の生活スタイルを見てんのかな?と心配になることありましたよ」

自分の必要な物を予想して、近くでスタンバイしているんじゃないか?と考えてしまうくらい、宅配サービスのスピーディーさには定評があります。

輸送能力が「3割不足」という予測も

裏を返せば、運送の現場がそのしわ寄せを受けているということ。
こうした問題は運送業に限らず、多くのサービス業にまたがる問題です。

2024年から年間の時間外労働時間が「960時間」に制限されます。
結果として「2030年には34%の輸送能力が不足する」と予測されています。

具体的にどんな問題が起こるのでしょうか?

これまでは遠方の配達地域でも1日で荷物を届けるスタイルでした。
今後は現地に到着するのに2日+帰りに2日、往復で丸4日かかることになります。

大石「当然、荷物が運べなくなってしまいますよね」

それにより売上利益が落ちると、対策としては「運賃を上げる」しかありません。
ただ、運送会社は現在6万社以上あり、過当競争のため”値下げ合戦”になる見込みも。

これまでは走れば走るほど、ドライバー収入(走行手当)は上がっていました。

しかし「労働時間の減少→輸送量の減少→ドライバー収入の減少→ドライバーの人手不足→荷物が運べなくなる」という”負のスパイラル”を招く心配もあると大石。

解決策は”バケツリレー”

では、どのように解決していけばよいのでしょうか?
考えられるのは「共同輸送」という方法です。

大石「バケツリレー、ありますよね。テレビドラマの火事場で見たことないですか?」

例えば1日でたどり着けない東京から福岡への輸送の場合、途中で別の運送会社に頼んだり、あるいは駅に運んで列車に頼むなどの代替手段を利用します。

大石「こういうことをして、なるべく時短を考えていこう、なるべく負担を減らそうということなんですね」

2024年を見据え、こうした施策の活用もすでに始まっています。
ドライバーの平均年齢は48.6歳で、高齢化の傾向も低賃金・人手不足に拍車をかけている運送業界。

大石「人手不足なのに、皆ネットショッピングでポチるじゃないですか」

ドライバーの方々の労働環境改善と、利益を生み出すことの両立が今後の課題となります。
私たちの暮らしに直結する問題だけに、ITの活用やM&Aによって「2024年問題」を乗り越えることを期待する大石でした。
(nachtm)
 
大石邦彦のNOW ON SHARE!
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2023年04月29日11時44分~抜粋

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