大石邦彦のNOW ON SHARE!

トヨタ自動車を「世界のトヨタ」に変えた豊田章一郎さんの功績

2月14日、トヨタ自動車の名誉会長・豊田章一郎さんが97歳で亡くなりました。

18日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、大石邦彦アナウンサーが豊田章一郎さんの功績とトヨタの今後について解説します。

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日本経済を牽引するトヨタ

トヨタ自動車を世界有数の自動車メーカーに育て上げた豊田章一郎さん。

同社は1月26日、豊田章男社長が会長に、佐藤恒治執行役員が新たに社長に就任する後任人事を発表したばかりです。

大石「トヨタ自動車が今後どうなっていくのか?豊田章一郎さんの功績を振り返りながら解説していきます」

1925年(大正14年)に生まれ、大正・昭和・平成・令和と4つの時代を駆け抜けた章一郎さん。
昭和は社長、平成は経団連会長として日本の経済界を牽引されました。

章一郎さんを見かけたことがあるという大石、非常に矍鑠(かくしゃく)としていて、オーラのある印象だったそうです。

章一郎さんの父はトヨタ自動車を生んだ喜一郎さん、祖父は自動織機を発明した佐吉さんです。
「車を開発したい」という先代の遺志を継ぎ、トヨタ自動車を大きくしていったのが章一郎さんでした。

「世界のトヨタ」に変えたふたつの功績

章一郎さんのふたつの功績を取り上げる大石。

そのひとつは「工販合併」。
1982年にトヨタ自動車工業とトヨタ自動車販売を合併し、現在のトヨタの母体を築きました。
新生・トヨタ自動車の初代社長に就いたのは章一郎さんでした。

大石「一緒にならないと、クルマの大競争時代を勝ち抜いていけないだろうと」

一枚岩にすべく、合併を取りまとめたそうです。

ふたつめの功績は、1980年代に日本を襲ったバッシングへの対抗策。
当時、高性能で安いトヨタの自動車がどんどん輸出され、世界を席巻していました。

大打撃を受けたGM (ゼネラル・モーターズ)・フォード・クライスラーのビッグ3からすると、たまったものではありません。
激しいバッシングが巻き起こり、日本車がハンマーで叩き壊されたり、クレーンで吊り下げられたりしました。

大石「あの映像を観ると恐ろしいなあと」

厳しい時代だったと振り返る大石。
そんな大ピンチをどうやって乗り切ったのでしょうか?

章一郎さんは、カリフォルニア州にGMと合弁で工場を作り、アメリカ国民の雇用を創出したのです

大石「これはうまい戦略ですね」

今こそ求められる経営手腕

現地生産にしたことで輸出コストも削減し、販売体制の基盤になりました。
これはアメリカ進出の足がかりになると同時に、アメリカ経済にとってもウィン-ウィンの関係を築くことに成功します。

大石「トヨタがグローバル企業になっていったのは、実はこの時代があったからこそなんですね」

それまで国内企業だったトヨタは、世界に轟く企業に成長。
世界進出のきっかけは、”ピンチが招いたチャンス”でした。
章一郎さんが海外に出かけるたび、常に世界の経済人からアポイントが殺到したそうです。

一方で章一郎さんが万博協会の会長を務めた2005年の愛知万博では「環境破壊」との非難が浴びせられます。
この批判に対しても問題を丹念に解決。不言実行を地で行き、「グローバル企業のリーダーの資質」と周囲から讃えられました。

数々の偉大な功績を残された章一郎さんの逝去は、ひとつの時代の終わりと言えます。
いまや自動車が電気で動き、自動制御で走る時代。自動車産業は”100年に1度の大変革時代”を迎えています。

今の時代を乗り切るには、当時の経営手腕にこそヒントがあると感じた大石でした。
(nachtm)
 
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2023年02月18日11時44分~抜粋

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