大石邦彦のNOW ON SHARE!

ソウル梨泰院の圧死事故。「群衆雪崩」はなぜ起こる?

10月29日、韓国ウル特別市の梨泰院で起きた圧死事故。
このような悲劇を繰り返さないためには、どうすればよいのでしょうか?

11月5日放送の『大石邦彦のNOW ON SHARE!』(CBCラジオ)では、「群衆雪崩」のメカニズム、そして2001年に日本で発生した「明石花火大会歩道橋事故」の教訓について、大石邦彦アナウンサーが解説します。

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ドラマの舞台で群衆雪崩が発生

今回のテーマは…「ソウル梨泰院で起きた圧死事故。現場で起きていたこととは?」

10月29日夜遅く、楽しいはずのハロウィン前の夜。
大勢の若者が折り重なるように倒れ、日本人2人を含む150人以上が圧死する痛ましい事故が発生しました。
事故現場は大ヒットドラマ『梨泰院クラス』で知られ、飲食店やナイトクラブが立ち並ぶ韓国有数の繁華街・梨泰院。

大石「吃驚しましたね…」

なぜあのような悲しい事故が起きてしまったのでしょうか?
今回発生したのは「群衆雪崩」。
1平方メートルあたり「10人」が集中するような状況を指します。

現場は坂道だったこともあり、誰かがバランスを崩して倒れ、その空間に人が倒れこんでしまったと推測されています。
事故原因を究明し、再発防止に努めると尹錫悦大統領も声明を出しています。

わが国でも2001年7月に兵庫県明石市で発生した「明石花火大会歩道橋事故」も同じ事例となります。
花火大会の観客が歩道橋上で大混雑となって押しくら饅頭になり、群衆雪崩が発生。
11人が亡くなり、247人がけがをする大事故でした。

当時の事故調査委員会の報告書に目を通した大石。

大石「なぜあのような事故が起きたのか?そのメカニズムがわかったんですね。韓国の事故と共通することが多々あるかと思います」

明石の事故で起きていたこと

明石の事故では、1平方メートルあたり「13-15人」が密集したとみられています。
「10人」でも手を上げ下げできませんが、「13-15人」は全く身動きがとれない状況です。

大石「その状況の中で流れが止まりました」

打ち上がる花火を一目観ようと、狭い歩道橋の上にたくさんの人が押しかける光景は想像に難くありません。

大石「押し合いへし合いが起きてしまった」

まずこどもの転倒があり、うずくまったところに空間が生まれ、その空間に人がなだれ込んでしまったようです。

大石「今回と同じような状況が生まれていたことがよくわかりました」

梨泰院の事故では、飲食店内にいる有名人を一目みようと、人の流れがストップ。
そこに上下から人が流れ込み、おしくらまんじゅう状態から転倒が起きたとみられています。

私たちにできることは?

一方、警備体制の不備への指摘も。
本来は主催者・警察・警備員が情報共有をしっかり行い、連携して組織的警備にあたる必要があります。
今回の事故では、そのあたりも手薄だったことが明らかに。

それだけに「迂回してください」と人の流れを作る”DJポリス”はとても重要、と指摘する大石。
万一に備えて医師や看護師を配置し、救命の医療体制の計画を作っておくことも大事です。

大石「AEDがもし現場にあったら、何人の命を救うことができたでしょうか」

圧迫による呼吸困難は低酸素・低血圧状態を生み出し、意識障害やショックを起こすと場合によっては5-10分で命の危険があります。

私たちにできるのはどんなことでしょうか?

時間に余裕をもって現場にゆっくり行き、ゆっくり帰る。急がない。
混雑時に「AでダメならBでいこう」「BでダメならCでいこう」と迂回路を考える。
警備の指示に従う。
そして究極の回避策は…「人混みに近づかないこと」と大石は結論付けます。

コロナの制限がようやく解除された矢先の今回の事故。
今後もいろいろなイベントやお祭りが開催されますが、くれぐれも気をつけたいものです。
(nachtm)
 
大石邦彦のNOW ON SHARE!
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2022年11月05日11時44分~抜粋

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