大石邦彦のNOW ON SHARE!

衝撃!「円安になると輸出産業が好調」はもう過去の話に

ついに24年ぶりの円安ドル高を記録した外国為替市場。
急激な円安になった原因は何だったのでしょうか?

また、円安が続く中で私たちにできることはあるのでしょうか?

9月10日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、大石邦彦アナウンサーが今回の円安について独自の目線で解説します。

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10年おきに起こる災難

今月7日、東京外国為替市場の円相場。
円売りドル買いが進み、1998年8月以来24年ぶりの、1ドル144円台の水準になりました。

大石「進み続ける円安。我々の生活にどう影響してくるんでしょうか?」

当番組で円安について取り上げた4月時点では、1ドル130円台でした。
その後わずか半年で140円台を突破し、とうとう144円台に。

24年前の1998年には北海道拓殖銀行や山一證券の経営破綻がありました。

大石「あれ、びっくりしましたよ」

その時の衝撃的な驚きを大石は振り返ります。

大石「その10年後にはリーマン・ショックがあるわけですよね。そして10年経ってコロナですから」

リーマン・ショックとは、2008年9月15日、アメリカ合衆国で起こった住宅ローン問題がきっかけで、投資銀行であるリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻したことで起こりました。
その影響は日本にも響いています。
およそ10年おきに世間を揺るがす出来事が起こると大石。

発言のたびに右往左往する市場

そして話題は再び急激な円安に。その引き金は何だったのでしょうか?

その原因を大石は”うわさ”に例えます。ここで言う”うわさ”とは、いわゆる市場への期待のこと。

8月下旬、ある会議の講演で、アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長から「利上げを続ける」という趣旨の発言がありました。
金融のトップであるパウエル議長の狙いは、インフレが続くアメリカで景気の過熱を抑えることです。

すると、「円を売ってドルを買おう」という人が増えます。
真逆の金融緩和を続ける日本では金利が低いためです。

こうした日米の根本的な金利政策の違いが円安の理由とされますが、そのことを「(事実より)うわさが先行している」と表現する大石。

何をもって事実とするかですが、発言はれっきとした公式情報であり、市場の反応を見定める狙いもあるのでしょう。
その後、日銀の黒田総裁は円安に懸念を示し、円が幾分買い戻されています。

円安になっても厳しい輸出産業

互いの思惑で綱引きのように揺れ動く為替ですが、円安が続くと企業活動にどんな影響をもたらすのでしょうか?

経済ジャーナリストの渋谷和宏さんによれば、「円安になると輸出産業が好調」と言われたのはもはや過去の話。

大石「自動車産業をはじめ、輸出産業も厳しくなるんじゃないかって話なんですね」

すでに多くが海外に出ている日本企業は現地生産が基本。
”ものづくり”さえ国外で行っているため、今や円高の方が都合がいい面も。
鉄鋼など原材料費が高くなった上、円安で海外から輸入するコストも嵩みます。

大石「ものづくりの現場はコスト高で圧迫されている」

リンゴかじるなら今のうち?

では、私たちに今できるのはどんなことでしょうか?
渋谷さんによると、半年~1年後に”アメリカの情報機器やブランド物”を買う予定がある人は、今のうちに買っておいた方がよいそうです。

”アメリカの情報機器”の具体的な商品名はあえて伏せる大石。

大石「リンゴかじるのも手かな…と言ってましたけどね」

また、ドル建て外貨預金の勧めも。
これは”円高でドル預金して、円安で差益を狙う”戦略とは違います。
今後はドルの金利上昇が見込まれるため、利回りの良いドル預金はプラスになるというわけです。

円安は果たしていつまで続くのでしょうか?
渋谷さんは「来年の半ばくらいまで140円台が続く」と見ているようです。

「引き続きパウエル議長の発言に注目して欲しい」と呼びかける大石。
ポイントや見方がわかってくると、為替市場からますます目が離せなくなりそうです。
(nachtm)
大石邦彦のNOW ON SHARE!
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2022年09月10日11時44分~抜粋

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