大石邦彦のNOW ON SHARE!

緊張状態が高まる台湾と中国の関係。日本への影響は?

ウクライナの戦争で国際関係の緊張が高まる一方で、日本にとって身近な台湾を巡り、日々情勢が慌ただしく変化しています。

8月4日には、中国軍が台湾の周りで大規模な演習を開始し、周辺海域に向けて複数の弾道ミサイルを発射しました。
米中の思惑が絡み合う中、このミサイル発射が意味するものは?

8月13日放送のCBCラジオ『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、気になる台湾有事をテーマに、大石邦彦アナウンサーが解説します。

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「訪台」で一気に高まった緊張

ウクライナとロシアの戦争が勃発した際、アジアでも情勢が懸念されたのが台湾と中国を巡る問題。
今月に入り、各国間で緊張がますます高まっています。

まず2日に、アメリカのペロシ議長が下院議長として25年ぶりに台湾を訪問したことを問題視した中国の人民解放軍は、これに反発するように、台湾周辺で重要軍事演習を始めます。
さらに4日、11発の弾道ミサイルが発射され、日本の排他的経済水域(EEZ)にも5発が落下しました。

今回、大石がインタビューを試みたのは河野克俊・元統合幕僚長。自衛隊のトップを務めた方です。

大石「この方はキーマンなんです」

まず、先日の中国のミサイル発射について伺ったところ、「(台湾にとって)パートナーはアメリカなのか?」という意味合いだったそう。
台湾としては「全く驚いておらず、想定内だろう」と河野さん。

一方、アメリカには「譲歩しない」という姿勢を示すものの、軍事衝突は避けたいのが本音と見ています。

また、日本に対しては「明らかな威嚇」「脅し」に近く、射程圏内にあることをほのめかす狙いがあるそう。
現に12日、日本の海域へのミサイル落下は習近平主席の決断だったとする報道があるようです。

台湾を統一すると、どうなる?

一方中国の情勢では、今秋の共産党大会で習主席自身の3期目がかかっているという背景も。
中国にとって台湾統一は毛沢東以来の悲願です。

大石「日本、アメリカは”やれない方向”に何とか持っていきたい」

アメリカは、2027年までに”台湾への脅威”が表面化すると見ているようです。

ここで大石は「日本はどうなるのか?」と問いかけます。
仮に台湾統一となると、台湾は「台湾省」に。挙げ句は尖閣諸島もセットで考えている、と河野さん。
こうなると、日本の自衛隊だけでは太刀打ちできないそうです。

そこで気になるのは「アメリカは本当に守ってくれるのか?」ということ。
近年は、紛争を守るための「世界の警察」の役割を果たしていないとの批判もある、と大石。
そのため、ウクライナへの軍事介入がなかったことを、台湾に重ねてしまうのも無理はありません。

「いつか来た道」を迂回するには

河野さんはGDP2%の防衛費を目指し、軍備増強の必要性をひたすら訴えます。

大石「軍備を増強しなければならないのか?」

2%と言えど、その額はなんと10兆円以上。巨額な国家予算を投じることになります。
しかも実戦投入まで数年かかる見込みで、本当に国益に資するかどうか、熟慮が求められます。

大石「いつか来た道にならないか?」

この大石の問いかけに対し「今は文民統制で民主主義だから大丈夫」とかわす河野さん。
文民統制はおろか、まともな情報を手に入れることすらままならかった戦前当時。
翻って現代はむしろ大量の情報が溢れかえり、どれが正しい情報なのか、見分けるのが難しくなっているといえます。

77回目の終戦記念日を迎えた夏。
不安を煽る情報を鵜呑みにせず、国際情勢を正しく見定めることの大切さを感じさせられます。
(nachtm)
 
大石邦彦のNOW ON SHARE!
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2022年08月13日11時44分~抜粋

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