大石邦彦のNOW ON SHARE!

築142年の明治用水、大規模漏水のあまりにも大きな影響

5月17日、愛知県豊田市の取水施設「明治用水 頭首工(とうしゅこう)」で大規模な漏水が発生していることが発覚しました。

水不足解消のために作られたこの施設、どのような目的で使われているのでしょうか?
また、今回の漏水が起きた原因は何だったのでしょうか?

5月28日放送の『大石邦彦のNOW ON SHARE!』では、大規模漏水の実態に迫りました。

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”日本のデンマーク”の源に

大規模な漏水が発生した「明治用水頭首工」では、現在仮設ポンプが設置され、水路やパイプラインに水を充填する作業が進んでいる最中。
依然として農業用水の利用停止が続いています。

大石「今後どんな生活になってくるのか?」

まずは、明治用水の歴史について解説する大石。
その名の通り、明治時代に作られた施設なのだとか。時は1880年(明治13年)、西郷隆盛の西南戦争の時代です。目的は水不足の解消でした。

大石「西三河一帯は水枯れで大変だったんです」

用水が作られた結果、水田面積が4倍に。
安城、刈谷、知立、豊田などに水が供給され、安城は優良農業地帯となり、「日本のデンマーク」と呼ばれるまでに成長。
安城を訪れた時は感慨深かった、と大石は振り返ります。

大石「嬉しかったですね。本当にデンマークに来たような喜びを感じましたよ」

西三河一帯の驚きの製造出荷額

明治用水は農業用水として毎秒30立方メートルを送り、およそ5600ヘクタール、1万3000人の方がその恩恵に与っているそうです。

しかも、支えているのは農業だけではありません。
工業面でも毎秒4立方メートルの水を送り、自動車産業の”ものづくり”を支えているそうです。
西三河一帯の製造出荷額はなんと26兆円で、神奈川県の製造出荷額を上回っているのだとか。

大石「神奈川一県より西三河一帯の方が上なんです!」

各事業所に水を送っているため、今回の漏水で自動車関連企業などへの工業用水が供給できなくなる可能性があります。

大石「その明治用水、何が起きたんでしょうか?」

矢作川の水を溜めて明治用水に水を供給していた頭首工。
今回、川底に穴が空いてしまった結果、水が溜まらなくなることに。堰の下を通って水の道ができ、川下の方で水が吹き出したようです。

大石「水漏れってそういうことなんですよ」

漏水の原因は老朽化。
頭首工が出来たのは昭和22~32年の間とあり、資料が古すぎて詳しくはわかっていないそうです。

鉄板を突き抜けた?

名古屋大学減災連携研究センターの田代喬特任教授に取材した大石。

160mにわたって鉄板が敷き詰められていて、水が川下に流れるのを防ぐ構造になっているそうです。
今回は「鉄板の下を水がくぐり、吹き出した」という推測があるようです。

一方、田代教授の見立てではなんと「鉄板を水が突き抜けているのではないか」とのこと。

大石「鉄板、水突き抜けますか!ってびっくりしたんですけど」

鉄板の継ぎ目の亀裂から浸水し、水の道を作ったのではないかと推測しているそうです。

大石「ものすごい水圧がかかってますから」

高いところから低いところに流れる水。
田代教授によると、”水は弱いところにも流れていく”のだそう。
そういえば”弱みにつけこむ”人は周りにもいるなぁ、と大石。

大石「何人か顔浮かびましたけども」

改めて水の強さを感じたと話す大石。

水田の苗にとって死活問題ですが、本格的な調査は水量が少なくなる冬場まで待たなければならず、完全復旧まで年単位でかかるそうです。
身近な暮らしに深く関わっている明治用水の一日も早い復旧が望まれます。
(nachtm)
 
大石邦彦のNOW ON SHARE!
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2022年05月28日11時45分~抜粋

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