4月1日はエイプリルフール。「嘘をついてもいい日」とされている日として知られており、近年はSNS上で企業がユニークなジョークを発信して話題になったりすることも増えました。
その一方で、悪い意味で話題になってしまったものもあるようです。
4月5日放送のCBCラジオ『石塚元章 ニュースマン!!』では、弁当チェーン「ほっかほっか亭」がSNSに投稿した内容について取り上げました。
CBC論説室の石塚元章特別解説委員が、その背景と要因を語ります。聞き手は加藤愛です。
嘘のつもりが
全国に830店舗以上を展開する大手弁当チェーンの「ほっかほっか亭」は、4月1日にX(旧Twitter)の公式アカウントにて「コメの価格高騰を受けて、本日より全店でライスの販売を停止します」と投稿しました。
投稿には「#エイプリルフール」と記載があったようですが会社には問い合わせが殺到、またSNS上でも批判が出たため、1日午後にXで謝罪の投稿をしています。
石塚「お米がないっていうのはニュースでもさんざん話題になっているので、ある意味ブラックジョークのつもりだったんだろうけどね」
SNSの拡散力は言うまでもなく、さらに拡散されていくうちに一部の情報だけが切り取られたり勘違いが起きたりすることも多々あります。そのうちに本当か噓か曖昧になってしまうケースも少なくありません。
嘘の線引き
石塚「そう思うと、エイプリルフールも扱いにくい時代になっているのかもしれません」
加藤「幸せな嘘とか、絶対に嘘ってわかるものだったら『エイプリルフール楽しんでるな』ってわかるかもしれないですが。どこまでが嘘で本当かわからないとなると…」
石塚「最初からフェイクニュース流す人がいっぱいいる時代になっちゃったしね」
「コメがなくなる」という嘘は、令和の米騒動とも言われて人々が非常に敏感になっている時期なだけにタイミングが悪かったようです。
この超情報社会でエイプリルフールを楽しむためには、発信側も受け手側も嘘の線引きをしっかりする必要がありそうです。
各国のエイプリルフール
石塚「同じような話で言うと、有名な投資家のウォーレン・バフェットさんがテスラを買収するという嘘もあったんです」
イーロン・マスク氏の所有する電気自動車メーカー「テスラ」をバフェット氏が買収するというのは、アメリカの情報サイトがエイプリルフールのジョークとして発信した嘘です。
バフェット氏は慌てて否定したとのことですが、トランプ政権下でマスク氏がどうなるか、彼の運営するテスラの株も下がっているのではと話題になっている中でのこの嘘だったので、信じてしまう人が多かったようです。
石塚「さらにもうひとつブラックな嘘。グリーンランド自治政府の公共放送局が『グリーンランドの政府はアラスカ州を買収します』と言ったそうです」
トランプ大統領がグリーンランドを買収すると公言していることを逆手に取ったブラックジョークです。自治政府はトランプ大統領の言葉を借りて「トランプ大統領のおかげで人の土地でも買えるということがわかりました」と発信したそうで、エイプリルフールのネタとして盛り上がったようです。
加藤「すごい皮肉(笑)」
一昔前のエイプリルフールは
今はSNSで誰もが気軽にエイプリルフールを楽しむことができる時代ですが、SNSがない時代のジョークはどんなものだったのでしょうか?
石塚「イギリスのBBCが1957年に『スパゲッティの木が大豊作になった』という嘘を映像付きで流したことがあります」
当時は同じヨーロッパでもスパゲッティを食べるのはイタリア人くらいで、イギリス人に馴染みのない食材だったとのこと。「スパゲッティという食い物は木になるらしい」と、多くの人が本気にしたようです。
石塚「同じくBBCのエイプリルフールジョークで、2008年に空とぶペンギンの撮影に成功したというものもありました。これ、今でもYouTubeに映像が残っています」
南極でリポートしているBBC記者が群れで歩いていたペンギンに気が付き見ていると、一斉に滑走し始めて空に飛び立つというかわいらしいフェイク動画です。
エイプリルフールは楽しいイベントですが、発信側も受け手側も気を付けないと大きな混乱を招いたり、他者を傷つけてしまったりすることにも繋がります。
石塚は「嘘の情報には気を付けて。本当か嘘かわからないものにすぐに飛びついて、安易に拡散しないように」と注意喚起を促しました。
(吉村)
石塚元章 ニュースマン!!
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2025年04月05日08時02分~抜粋