毎週土曜日放送のCBCラジオ『石塚元章 ニュースマン!!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が気になるニュースのポイントをわかりやすく解説しています。
12月14日の放送では石塚が注目した「仮装身分捜査の導入」と「同性婚裁判の違憲判決」というふたつのニュースに関して、法の解釈という観点から読み解きます。
日本の警察でも「仮装身分捜査」が導入されることに
闇バイトの根絶を目指して
石塚「今週気になったキーワードの1つ目は、『仮装身分捜査』です」
警察官が身分を隠して犯罪組織にコンタクトし、強盗グループの摘発などの捜査を進めるという試みが始まるようです。
日本ではこれまであまり行なわれていませんでしたが、来年の早い時期から導入する方針を固めたとのこと。
きっかけは今年世間を大きく騒がせた「闇バイト」に関連した事件の数々。
石塚「被害件数があまりにも多く、また悲惨な結果に終わるケースもあったので、これ以上被害者を出さないために新しい手法を用いた捜査に乗り出したようですね」
闇バイトは、最初は何の変哲もないアルバイトを装って応募を募ります。
しかし誘いに乗った人に対して身分証の提示を迫り、個人情報を掴んだ途端に態度が急変し、脅して犯罪への加担を強要するといったパターンが多いようです。
このように深刻化する闇バイト事件に対応するため、今まで以上に踏み込んだ対策が求められていました。
そういった流れを断ち切るために導入されることになったのが、今回の仮装身分捜査です。
警察官が身分を隠して犯罪組織にコンタクトし、強盗グループの摘発などの捜査を進めるという試みが始まるようです。
日本ではこれまであまり行なわれていませんでしたが、来年の早い時期から導入する方針を固めたとのこと。
きっかけは今年世間を大きく騒がせた「闇バイト」に関連した事件の数々。
石塚「被害件数があまりにも多く、また悲惨な結果に終わるケースもあったので、これ以上被害者を出さないために新しい手法を用いた捜査に乗り出したようですね」
闇バイトは、最初は何の変哲もないアルバイトを装って応募を募ります。
しかし誘いに乗った人に対して身分証の提示を迫り、個人情報を掴んだ途端に態度が急変し、脅して犯罪への加担を強要するといったパターンが多いようです。
このように深刻化する闇バイト事件に対応するため、今まで以上に踏み込んだ対策が求められていました。
そういった流れを断ち切るために導入されることになったのが、今回の仮装身分捜査です。
海外には制度化されている国も
仮装身分捜査とは、警察官が偽の身分証を使って闇バイトに応募し潜入捜査を試みるという、いわゆる「おとり捜査」です。
日本では麻薬捜査などのごく一部では導入されていたこともあるようですが、本格的な捜査に利用するにはハードルが高かったとのこと。
理由は身分証の偽造が法律違反に該当するためです。
石塚「ですが、実は刑法35条には『法令または正当な業務による行為は罰しない』というくだりがあるんです」
刑法のこの部分を今回の事例に当てはめて解釈すると「法律の範囲内で対応が可能なのではないか」との判断に至り、仮装身分捜査を進めていく方向となったようです。
ただおとり捜査は一歩間違うと、判事を誘発する可能性もあると石塚は言います。
石塚「犯罪する気のなかった人や迷っていた人も、無理やり犯罪に引き込んでしまうパターンもあるんですよ」
そういった側面もあり、できるだけおとり捜査を使わず逮捕できるよう進めてきた日本警察。
しかし相次ぐ闇バイトによる凶悪犯罪を受け、日本の犯罪捜査の方法も少しずつ変化の兆しを見せているようです。
日本では麻薬捜査などのごく一部では導入されていたこともあるようですが、本格的な捜査に利用するにはハードルが高かったとのこと。
理由は身分証の偽造が法律違反に該当するためです。
石塚「ですが、実は刑法35条には『法令または正当な業務による行為は罰しない』というくだりがあるんです」
刑法のこの部分を今回の事例に当てはめて解釈すると「法律の範囲内で対応が可能なのではないか」との判断に至り、仮装身分捜査を進めていく方向となったようです。
ただおとり捜査は一歩間違うと、判事を誘発する可能性もあると石塚は言います。
石塚「犯罪する気のなかった人や迷っていた人も、無理やり犯罪に引き込んでしまうパターンもあるんですよ」
そういった側面もあり、できるだけおとり捜査を使わず逮捕できるよう進めてきた日本警察。
しかし相次ぐ闇バイトによる凶悪犯罪を受け、日本の犯罪捜査の方法も少しずつ変化の兆しを見せているようです。
初めての司法判断
石塚「もうひとつのキーワードは、『憲法13条』」
同性同士の結婚を認めない民法などの規定は憲法違反だとして、福岡市と熊本市の同性カップル3組が国に損害賠償を求めていました。
福岡高等裁判所は同性カップルを婚姻制度の対象外としている法規定は、憲法13条が保証する「幸福追求権」の侵害だとしました。
石塚「同性婚を認めないことを違憲だとする判決は3件目だけど、憲法13条を根拠にしたのは今回が初めてなんですよ」
これまでは憲法14条「法の下の平等」などほかの根拠に基づいて違憲判決がされていたようですが、今回13条の「幸福追求権」の侵害だとしたのはかなり踏み込んだ判断と見る石塚。
石塚「判決でも『同性婚を法律として認めない理由は存在しない』くらいのことを言ってますし、専門家も『差別はやめた方がいい』というような指摘をしてます」
判決の中では「婚姻は両当事者の自由な意思に完全にゆだねられており、血縁集団の維持・存続といった目的からの介入は一切許されず、宗教的な立場からの介入も許されない」としており、法廷内からは拍手が上がり、原告含め多くの傍聴人が涙を流したそうです。
ちなみに共同通信社などの世論調査によると、「同性婚を認める方がよい」と考えている人は73%に上るのだとか。
多様性を認めようとする動きの中で、一人ひとりの尊厳が守られる社会になっていくことが望まれます。
法を読み解くことで、人命や人権を守ることにつながった2件のニュースの紹介でした。
(吉村)
同性同士の結婚を認めない民法などの規定は憲法違反だとして、福岡市と熊本市の同性カップル3組が国に損害賠償を求めていました。
福岡高等裁判所は同性カップルを婚姻制度の対象外としている法規定は、憲法13条が保証する「幸福追求権」の侵害だとしました。
石塚「同性婚を認めないことを違憲だとする判決は3件目だけど、憲法13条を根拠にしたのは今回が初めてなんですよ」
これまでは憲法14条「法の下の平等」などほかの根拠に基づいて違憲判決がされていたようですが、今回13条の「幸福追求権」の侵害だとしたのはかなり踏み込んだ判断と見る石塚。
石塚「判決でも『同性婚を法律として認めない理由は存在しない』くらいのことを言ってますし、専門家も『差別はやめた方がいい』というような指摘をしてます」
判決の中では「婚姻は両当事者の自由な意思に完全にゆだねられており、血縁集団の維持・存続といった目的からの介入は一切許されず、宗教的な立場からの介入も許されない」としており、法廷内からは拍手が上がり、原告含め多くの傍聴人が涙を流したそうです。
ちなみに共同通信社などの世論調査によると、「同性婚を認める方がよい」と考えている人は73%に上るのだとか。
多様性を認めようとする動きの中で、一人ひとりの尊厳が守られる社会になっていくことが望まれます。
法を読み解くことで、人命や人権を守ることにつながった2件のニュースの紹介でした。
(吉村)
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