9月10日の『石塚元章ニュースマン』(CBCラジオ)、「21世紀の賢者たち」のコーナーでは、CBC中部日本放送に入社後、数々のテレビドキュメンタリー番組を制作したレジェンド・竹中敬一さんにお話を伺いました。
今年89歳になる竹中さんは、先日『終わりゆくテレビ時代に ―テレビ草創期からのドキュメンタリーディレクターの軌跡』を上梓されました。
こちらではその中から、1968年(昭和43年)に日本民間放送連盟賞報道社会部門金賞を受賞した『列車糞尿譚』についてのお話について取り上げます。
ドキュメンタリー『列車糞尿譚』で日本を変えた男
『列車糞尿譚』
竹中さんは今年で89歳。これまでに18本のカメラルポルタージュを制作し、多くの賞を受賞しています。
中でも、世の中を動かした衝撃的なルポルタージュとして大変注目を集めた作品は、『列車糞尿譚』。日本民間放送連盟賞報道社会部門で金賞を受賞した作品で、石塚元章もCBCに入社した頃から耳にしていたといいます。
石塚いわく、「ドキュメンタリストとしての竹中さんの信念を感じる作品」です。
今では考えられないことですが、昔の列車はトイレをタンクに溜めず、垂れ流しながら走っていました。当時、この問題は「黄害」と呼ばれ、沿線住民の人を悩ませていたのです。
大阪のある医師は「列車で窓を開けると、どのくらい糞尿の飛沫が飛ぶか」という実験を行っていました。つまり、列車の窓を開けて食事をしていると、糞尿の飛沫が降りかかってきていたというわけです。
中でも、世の中を動かした衝撃的なルポルタージュとして大変注目を集めた作品は、『列車糞尿譚』。日本民間放送連盟賞報道社会部門で金賞を受賞した作品で、石塚元章もCBCに入社した頃から耳にしていたといいます。
石塚いわく、「ドキュメンタリストとしての竹中さんの信念を感じる作品」です。
今では考えられないことですが、昔の列車はトイレをタンクに溜めず、垂れ流しながら走っていました。当時、この問題は「黄害」と呼ばれ、沿線住民の人を悩ませていたのです。
大阪のある医師は「列車で窓を開けると、どのくらい糞尿の飛沫が飛ぶか」という実験を行っていました。つまり、列車の窓を開けて食事をしていると、糞尿の飛沫が降りかかってきていたというわけです。
国会の予算委員会に初のカメラ
実は竹中さんは、国会の予算委員会に初めてカメラを持ち込んだ人。
音も同時に録れるフィルムを使い、日本社会党の横山利秋氏が糞尿の害を訴え、不在の厚生大臣に代わって、法務大臣がしどろもどろの答弁を行った様子を10分ほど収録しました。
この後、列車のトイレも新幹線同様にタンク式になりました。
つまり、列車のトイレが改良されるきっかけを、竹中さんのルポルタージュが作ったというわけです。
「当時は、放送に対する公平性や中立性といった倫理観を誰も教えてくれないんですよ。誰に言われなくても、倫理観は持ってました。民放はすごく敏感でした」と竹中さん。
音も同時に録れるフィルムを使い、日本社会党の横山利秋氏が糞尿の害を訴え、不在の厚生大臣に代わって、法務大臣がしどろもどろの答弁を行った様子を10分ほど収録しました。
この後、列車のトイレも新幹線同様にタンク式になりました。
つまり、列車のトイレが改良されるきっかけを、竹中さんのルポルタージュが作ったというわけです。
「当時は、放送に対する公平性や中立性といった倫理観を誰も教えてくれないんですよ。誰に言われなくても、倫理観は持ってました。民放はすごく敏感でした」と竹中さん。
現場へ出て失望したことがない
『終わりゆくテレビ時代に ―テレビ草創期からのドキュメンタリーディレクターの軌跡』には、『列車糞尿譚』をはじめ多くのエピソードが載っています。
この本の中で石塚が特に感銘を受けたのは、「現場へ出て失望したことがない」という言葉でした。
竹中さん「あらかじめ、簡単な構成案を台本にして書いて。でも現場へ行くと、私の書いた台本がね、すごく貧弱に見えちゃう。現場の人に会えば会うほどね、こんな話もあったんだ!こんな面白い話がある!失望したことは1回もない」
「名もない庶民の方の一言に助けられて、私は番組を作っていたわけです」と楽しそうに語りました。
この本の中で石塚が特に感銘を受けたのは、「現場へ出て失望したことがない」という言葉でした。
竹中さん「あらかじめ、簡単な構成案を台本にして書いて。でも現場へ行くと、私の書いた台本がね、すごく貧弱に見えちゃう。現場の人に会えば会うほどね、こんな話もあったんだ!こんな面白い話がある!失望したことは1回もない」
「名もない庶民の方の一言に助けられて、私は番組を作っていたわけです」と楽しそうに語りました。
「若い世代に伝えたいこと」
最後に石塚が「若い世代に伝えたいこと」について尋ねます。
竹中さん「カメラルポルタージュが私の制作の原点です。それは事実の記録であると。
これからも、いろんな妨害があるかもしれません。例えばロシアのウクライナ侵攻のフェイクニュースなどが出回って、事実をつかむのがとても困難になる時代。二次情報、三次情報というのが出回っている。
しかし一次情報をつかむ、ということはとても大事なことでね。どんな妨害があっても、それをひとつつかんで、後世に伝えてほしい。これが僕の願いです」
現場、事実、記録の大切さがひしひしと伝わるインタビューでした。
(minto)
竹中さん「カメラルポルタージュが私の制作の原点です。それは事実の記録であると。
これからも、いろんな妨害があるかもしれません。例えばロシアのウクライナ侵攻のフェイクニュースなどが出回って、事実をつかむのがとても困難になる時代。二次情報、三次情報というのが出回っている。
しかし一次情報をつかむ、ということはとても大事なことでね。どんな妨害があっても、それをひとつつかんで、後世に伝えてほしい。これが僕の願いです」
現場、事実、記録の大切さがひしひしと伝わるインタビューでした。
(minto)
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