石塚元章 ニュースマン!!

お得な「ゆっくり配達」。配送業者の労働環境改善も!?

コロナ禍によってさらにネットスーパーなどの需要が拡大するなど、今や私たちの生活に欠かせなくなったネット通販。

その通販のあり方が少し変わるかもしれません。

8月24日、ヤフーとアスクルは通販の商品発送について、通常よりゆっくり配達しても良いと希望した利用者に対し、ポイント還元を行う実証実験を28日から実施すると発表しました。

これまでは追加料金や月額料金を払うと通常よりも早く届けるというサービスがありましたが、真逆のサービスを始めるのにはどのような理由があるのでしょうか。

8月27日放送『石塚元章 ニュースマン!!』(CBCラジオ)では「ゆっくり配達」について、CBC論説室の石塚元章と渡辺美香アナウンサーが解説しました。

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宅配業者が悲鳴

利用料金などさまざまな利用条件があるようですが、対象となっているのは、アスクルが運営する一般消費者向け日用品ショッピングサイト「LOHACO」の対象サイト。

最短で注文翌日到着としていたのが、数日後以降の到着日付を指定することで、PayPayのポイントを還元するとのことです。

ゆっくり配送という試みは、フリーマーケットサービスのメルカリも検討しているというニュースは、以前から伝えられていました。

これらの背景には、爆発的に伸びた通販の需要に対し配送業者の作業が追いつかないという「宅配クライシス」があるようです。

ドライバー不足だけではなく、トラックの荷台がまだ半分ぐらい空いているのに、急いで配達しなければならずそのまま出発するといった配送の無駄が指摘されています。

今後、ゆっくり配達が浸透していけば、速さ最優先としていた考え方から、「ゆっくりでもいいんじゃない?」という考え方にシフトする動きが出てきそうです。

キーワードは「ゆっくり」

すでにアメリカではゆっくり配達しても良いという選択肢が広がっているそうです。

渡辺「ヨーロッパとか、もともと時間にルーズな国だと(違和感なく受け入れられる)。日本は正確だけではなく、どんどん前倒しでって」

石塚「ちょっと冷静になって考えてみると、そんなに急がなくても良かったなっていう物も何となく今日中に届けてくれる、明日何時までに来てくれるというのがあったんじゃないでしょうか」

あまり夜中に利用者がいない店舗でも24時間営業をするなど、これまで過剰なサービスが働く人たちに負担を強いていた日本の労働環境。

人手不足を通じて問題が表面化してきたため、これらの働き方を見直す機会なのかもしれません。

石塚はかつての交通標語「せまい日本そんなに急いでどこへ行く」や、CMソングの歌詞「のんびり行こうぜ俺たちは」というフレーズを引き合いに出し、高度経済成長の時の日本は「ゆっくり」というのがキーワードになっていたと指摘。

経済が成長していない現在でも、外国との競争の中でスピードが重視されてしまっています。

最後にあらためて「また何となく忘れてたような気がちょっとしたんで、このニュースを元にちょっとゆっくりって一度考えてみようと思った次第です」とまとめました。
(岡本)
 
石塚元章 ニュースマン!!
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2022年08月27日07時26分~抜粋

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