石塚元章 ニュースマン!!

原油高に対抗して各国が備蓄石油を放出、その量は何日分?

『石塚元章 ニュースマン!!』の「石塚トレンド 今日の数字」コーナーでは、CBC論説室特別解説委員の石塚元章が、今週起きたニュースにまつわる数字をピックアップ。

渡辺美香アナウンサーとともに解説していますが、11月27日の放送で取りあげた数字は「0.7日分」。

日本経済にも大きな影響を与えている数字です。

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国家備蓄は何のため?

昨今の原油高を受け、アメリカなど各国は協調して備蓄石油の放出を決め、日本も24日に国家備蓄の一部を放出することを発表しました。

放出量は全体で7,000万バレル程度、これは世界全体の消費量の0.7日分にあたります。

備蓄石油とは、万が一のことに備えて国が普段から蓄えている石油のこと。

特に日本の場合、石油は輸入に頼らざるを得ませんが、戦争や産油国の事情などにより輸入が止められると大変なことになります。

そのため、日本では国家備蓄が国内需要の90日分以上、民間備蓄は70日分以上行っておくように定められています。
今年の9月時点で国家備蓄は法律の規定を上回る、およそ5か月分ほどあるそうです。

本来は石油が入手できないような時に使うものですが、今回は原油が値上がりしているので、放出して値段を下げようという経済的な理由によるもの。
異例ともいえる措置であり、その使い道は議論を呼んでいます。
 

産油国の思惑は?

石油放出の方針を最初に決めたのは、アメリカのバイデン政権。

石塚は「ここのところ支持率が下がっていて、支持率アップを狙って経済を良くするために原油を出そうと仕掛けている感じがないでもない」という見方です。

原油の価格が上がり始めたのは、コロナ禍が収まりつつある中で人の動きが活発化し、石油の需要が上がってきたためといわれています。

その一方で、OPECに加盟している産油国などに「なるべくたくさん油を出して欲しい」と働きかけたものの、産油国側としては「完全にコロナ禍が収まったわけではないので、また需要が減ってきたら、値下がりしてしまう可能性があるので様子を見たい」と、増産には慎重な姿勢を見せているようです。

コロナ禍が初めて大きな問題となった2020年4月には、原油先物価格がマイナスを付けたことが大きな話題となりました。
産油量をどう調節するのかというのは、産油国にとって最も重要な決定事項といえます。
 

放出の効果はある?

石油を放出してこれ以上の値上がりを防ぐという目的があるようですが、番組リスナーの「これが引き金となって、産油国が減産に動き出さないか心配です」という意見があるとおり、この動きを警戒してより石油の産出を止め、さらなる値上がりをもたらす危険性もあります。

冒頭に紹介した数字ですが、その量は世界全体の使用量の0.7日分で、「焼け石に水」ではないかといわれています。

渡辺は「たった0.7日分で、そんなことになったら逆効果ですね」と、放出の効果に疑問視し、最後に石塚は「実際に効果があるのか、世界が注目していますね」とまとめました。
(岡本)
 
石塚元章 ニュースマン!!
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2021年11月27日08時45分~抜粋

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