石塚元章 ニュースマン!!

大規模な接種訓練を実施した医科大学副院長がワクチンへの疑問に回答

日本でも医療従事者から順次、新型コロナワクチンの接種が始まり、効果に期待が高まる一方、副反応に対する不安の声もあり、ワクチンを打つべきかどうか悩む方も少なくありません。

2月20日放送『石塚元章 ニュースマン!!』では、藤田医科大学病院の副院長で救命救急センター長の岩田充永先生が登場。

1年前の2月、政府の要請を受けて藤田医科大学岡崎医療センターは、横浜港で検疫中だったクルーズ船のダイヤモンド・プリンセス号から、無症状感染者や濃厚接触者を含め128名を受け入れました。

世界から注目を集める中、受け入れの陣頭指揮を取ったのが岩田先生です。

新型コロナ対応に早くから携わられていた岩田先生に、ワクチン接種の安全性や今後の進め方などについて伺いました。

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接種のスケジュールを考慮

藤田医科大学でもこれから3,000人あまりの職員さんがワクチンを接種することになりますが、これだけ大規模な接種は初めて。

先日は100人規模で、ワクチン接種の訓練が行われました。

ワクチン接種後の影響を考慮して、できるだけ休みの前日に受ける、同じ部署の人が固まって受けないよう日程を調整する必要があります。

その他にも通常の診療に支障が出ないように接種会場を体育館にすること、溶解後6時間以内に接種しなければならないことを考慮してスケジュールを組むなど、さまざまな配慮が必要。

藤田医科大学では3月中旬ぐらいから接種が始まる予定とのことですので、準備作業に忙しく、今はワクチンの到着を待つばかりという状態だということです。
 

接種対象を広げる時の課題

先日、別の医療機関で先行接種が開始されましたが、ワクチンの到着を知らされたのが前日だったそうで、国の管理は大丈夫なのかと思ってしまいますが、別に理由があるそうです。

岩田先生「ヨーロッパから空輸されるんですけど、国もテロ対策等で出せる情報と出せない情報があるんだと推察しています」

大学病院内でもスケジュールを組むのがかなり難しそうですが、今後、私たち一般市民全体に広げた場合、さらにスケジュールや場所の確保が難しそう。

岩田先生「受付の段階で本人確認ということは、おそらく選挙の投票所のような作業が必要になるでしょうし、問診をする医師を配置して、接種をする医師もしくは看護師を配置して、15分間経過観察をする場所にも医療従事者を配置すると。

これを普通の医療と両立してやっていくというのは、ものすごいチャレンジですね」

ワクチンの確保もさることながら、人や場所の調整が大きな課題となりそうです。
 

ワクチンのメリット・デメリット

コロナ終息に向けて期待が高まるワクチンですが、私たちが知っておかないといけないことはあるのでしょうか。

岩田先生「まず効果という点で今わかっているのは、新型コロナウイルスに感染しても発症しないで済む、これは効果が認められています。

それから、仮に発症してしまっても重症化しないだろうと。これもワクチンの効果で認められている。

ワクチンを打っているから感染しないかどうかは、ちょっとわからない。

ただし、感染しても発症しない方は、他の人にも移しにくいんじゃないかということも以前から言われていて、ワクチンの効果は非常に期待できるだろうと」

重症化が防げるだけでも大きな効果ですが、一方で副反応のリスクはどれほどあるのでしょうか。

岩田先生「相対的に考えると、メリットの方が非常に大きい。

ですので、やはりこれまでに接種した人たちからの情報は、よく注意して耳を傾けていただきたいなと思います」

医療従事者が先行して接種するのは、医療行為による感染者を広げないという目的もありますが、正確な情報を伝えてもらえるということもあります。

岩田先生「私も最初は非常に不安があったんですけれども、アメリカの接種した救急医から話を聞くと、非常に安心することができたと」
 

集団免疫は獲得できる?

もう1つ、ワクチンで関心を持たれているのが、一般的な皮下注射ではなく、筋肉注射という点。

渡辺美香アナウンサー「筋肉注射っていうのは、まっすぐプツって打つんですね。あれはそんなに痛くないんですか?」

岩田先生「別の薬で筋肉注射を受けたことがありますが、そんなに私は痛いと思わなかったですね」

また、一定数の人が免疫を持つことで、他の人への感染が減り流行しなくなるという「集団免疫」という考え方がありますが、ワクチン接種により集団免疫の状態となるのでしょうか。

岩田先生「7割、8割の方が接種をして、できるといいなというところですね。

インフルエンザに関しても、国民の4割から6割が接種していても流行するシーズンがあるように、集団免疫を獲得するには7割、8割ぐらいの方の接種が完了してはじめて効果が期待できると考えられるので、集団免疫に期待するのはもう少し先になる気がします」

岩田先生は新型コロナ対策をマラソンに例え、これまではゴールが見えなかったのですが、ワクチン接種は給水ポイントのようなもの。

感染者のピークの数がワクチンで抑えられるのでないかとして、新型コロナとの戦いに光が見えてきたと語られました。
(岡本)
 
石塚元章 ニュースマン!!
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2021年02月20日08時11分~抜粋

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