石塚元章 ニュースマン!!

災害時に避難をためらう人へのキーフレーズはコレ!

東海地方に未曽有の被害をもたらした「東海豪雨」から、この9月で東海豪雨から20年が経ちました。

災害時には避難所などの安全な場所に身を寄せることが大切ですが、実際には「避難しない、避難したくない」という方が多いのも事実です。

9月12日放送の『石塚元章 ニュースマン!!』では、気象予報士でもある沢朋宏アナウンサーが、知られざる避難所についてのあれこれについて解説しました。

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避難すべきだったのにしなかった

「ウェザーニュース社」が、2018年の西日本豪雨で被災した方へ行ったアンケートによると、「あなたは避難すべきでしたか?」という質問に対して、92%が「NO」、8%の方が「YES」と回答しました。

この「YES」の8%の方に対する「実際に避難しましたか?」という質問には、「避難しなかった」と答えた方が84%でした。

「避難すべきであったのに避難しなかったという方が、圧倒的に多かった」と考察する石塚に、「もう一歩踏み込むと、当時も『避難した方がいいだろうな』とわかっていながら、避難を選ばなかった方が大半であった」と沢。

さらに「なぜ、避難しなかったのですか?」(複数回答)という質問に対しては、「家のほうが安全だと思ったから」が49%、「自分の周辺は大丈夫だと思った」が44%。

避難することがそもそも頭になかったという方がおよそ半数。

そして「避難する道のりが怖かった」が18%、「家族を考えると避難できなかった」が7%という結果が出ました。
 

自分は大丈夫という「正常性バイアス」

学者の分析によると「避難する道のりが怖い」というのは、防災学の観点からいうと「避難のタイミングを逃してしまった」ということ。

雨が強くなってしまってからでは、避難することそのものが恐怖になってしまうのです。

それでは、避難を躊躇する気持ちはどこから生まれるのでしょうか。

まず「家の方が安全だと思った」という方には、「自分は大丈夫」という正常性バイアスがかかっています。

これは、ひとりになった時や、誰かと相談しない時ほど、「私は大丈夫。今までもそんなことは起こらなかった」という気持ちになりがちであるということです。
 

「怖いのか?」と思われてしまいそう

同じく広島市が行ったアンケートで「なぜ、避難しなかったのか?」という問いに対して最も多かったのは、「近所の人がみな、避難してないから」というもの。

これには渡辺美香アナウンサーと石塚も「日本人らしいですね」「わかるな、でも」と思わず納得。

周囲の人よりも早く避難をすると「この程度の雨や雷を怖いのか?と思われてしまいそう」という意識が働いてしまうというのです。

また高齢者の方は、硬い体育館の床の上では人の手を借りないと立ち上がれないため「人の手を煩わせるのは…」と気を遣うあまり、避難できないということも。

こういった過去のアンケートからは、避難を躊躇するさまざまな事情が浮かび上がってきます。
 

異なる2つの「避難所」

今回、沢は、名古屋市 防災危機管理局 地域防災室の伊藤さんに取材を行いました。

避難所は法律上2種類に分かれており、台風などで一時的に身を寄せるところとして指定されている場所を「指定緊急避難場所」、長期間暮らすことを想定している場所を「避難所」と呼び、それぞれ備蓄しているものも異なります。

近くの避難所がどちらにあたるのかを、事前にハザードマップで確認しておくことが大切です。

名古屋市の人口は現在260万人。名古屋市の「指定緊急避難所」は、人口のおよそ半分にあたる130万人分を確保しています。
 

新型コロナ対策「三種の神器」

新型コロナウイルスへの対応で、確かに定員的な問題はあるものの、名古屋市では「定員なのでお引き取りください」ということはあり得ません。

近隣の避難所を勧めるという場合はあるかもしれませんが、あくまでも「命を守ることが大前提」。

消毒やマスクの準備を徹底することによって、命を守る方向性に舵を切っているということです。

とはいえ収容人員には限りがあります。

伊藤さんが「住民の皆さんにお願いしたいこと」として語ったのは、「避難所に行くことだけが避難ではない」ということ。

事前に親戚や友達同士で話し合いをしてもらい、避難所以外のところに身を寄せられる場所を確保してもらいたいということです。

そして、避難所でもコロナ対策は十分に行っていますがそれだけでは足りないため、非常持ち出し袋に消毒・マスク・体温計の「三種の神器」を入れておくことを推奨しています。
 

発令前に避難したい場合

「指定緊急避難場所」は「避難準備・高齢者等避難開始」(大雨警戒レベル3)で開設されます。

これは、大雨警報や暴風警報が引き金となり、各市町村役場が発令するもの。

発令後、市役所から施設管理者へ連絡が行き、避難所が開設され、市の職員も必ずそこへ向かいます。

「発令前から避難したい」という場合は、名古屋市の方は区役所へ連絡をすると適切な指定緊急避難場所を教えてくれます。

各区役所の防災担当の窓口は、ハザードマップに掲載されています。
 

「私は先に避難するね」

「災害ってなんでしょうか?」と尋ねた沢に、「災害は大雨が降ることではなく、避難しなければならないような状況になること」と伊藤さん。

例えば屋根が飛んだ、窓が割れたという状況を起こさないことが大切。

つまり、台風が来る前に家の周りのものを片付けるのは、人の家に災害を及ぼさないという点において非常に重要な備えなのです。

万が一、避難しなければならない時に周りが避難しなかった場合は、「私は先に避難するね」の言葉が最も有効。

「避難しようよ」「避難した方がいいんじゃない?」ではなく、「先に避難するね」の一言が、人の気持ちを動かす言葉なのです。
 

豪雨は「明日来てもおかしくない」

今後も「東海豪雨を上回る豪雨は起こりうる。いつ来てもおかしくない、明日来てもおかしくない」と沢。

他人事と思わず、災害時にはまず避難所へ行くこと。

避難所以外のところで身を寄せられる場所を確保しておくこと。

マスク、消毒、体温計などを非常用持ち出し袋に入れておくこと。

災害に遭わないように雨戸を閉める、ものが飛ばされないようにするということ。

そして「私は先に避難しますからね」というキーフレーズが大切であるということをしっかりと覚えておく必要がありそうです。
(minto)
 
石塚元章 ニュースマン!!
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2020年09月12日08時12分~抜粋

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