石塚元章 ニュースマン!!

致死率ほぼ100%の「狂犬病」。14年ぶりに国内で発症

愛知県豊橋市の病院で、2006年以来14年ぶりとなる「狂犬病」の患者が確認されました。

患者は昨年9月フィリピンで犬に咬まれ、その後今年2月に来日した外国籍の人。性別、年齢は発表されていません。

5月23日放送の『石塚元章 ニュースマン!! 』では、動物と人の両方に感染する「人獣共通感染症」である狂犬病について取り上げました。
CBC論説室の石塚元章特別解説委員が説明します。

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「犬」が媒介する「狂犬病」

豊橋市の発表によると、この患者は5月18日に腹痛と嘔吐の症状で市内の医療機関を受診。

22日の遺伝子検査で狂犬病ウイルスへの感染が確認されました。

症状は重く、集中治療室での治療が続けられています。

患者は昨年9月にフィリピンで犬に左足首を咬まれ、今年2月に就労のために来日した外国籍の人です。

「狂犬病」は、その名のごとく主に「犬」が媒介をする感染症。

犬のほか、コウモリやネコといった野生動物からうつることもあります。

これらの動物に咬まれることで、狂犬病ウイルスが人間の身体に入り込んでしまうのです。
 

長い潜伏期間

「間違えていただきたくないのは」と石塚元章が念押しをしたのは、狂犬病は「人から人へうつる感染症ではない」ということ。

狂犬病感染者から、さらに別の人へうつるということはありません。

驚くべきは、1カ月~3カ月というその潜伏期間の長さ。

「病院で『何かありましたか?』と聞かれても、『特になかったです』と答えると病名が判断しづらいですよね」

渡辺美香アナは、長すぎる潜伏期間のせいで、犬に咬まれたことを患者本人も忘れてしまっているのではないかと危惧します。

しかし、狂犬病には特徴的な症状があります。
 

狂犬病特有の症状

狂犬病は風邪のような症状から始まりますが、徐々に痙攣、幻覚を見る、恐水症(水を恐れる)といった症状が現れてくるのです。

特に恐水症は狂犬病特有の症状であるため、病名判定の手がかりとなります。

しかし、この症状が出ているとすでに手遅れに近い状態で、ほぼ命を落とすことになってしまうのです。

致死率ほぼ100%といわれる恐ろしい病気「狂犬病」。

「犬に咬まれた、怪しいな」と思ったら、発症する前に複数回のワクチン接種(曝露後接種)をする必要があります。
 

アジアやアフリカではいまだ存在する

日本では1956年頃に撲滅したため、現在では狂犬病の犬は存在していません。

今回のケース、そして2006年のケースのいずれも、フィリピンで犬に咬まれた後に来日し、その後狂犬病を発症しています。

アジアやアフリカでは、狂犬病はいまだになくなってはいないのです。

「人から人への感染はございませんので、ウイルスをもった犬に咬まれた時にかかります」と、繰り返し伝える石塚。

「じゃあ、犬から犬は?」と尋ねる渡辺に、「それはあるかもしれませんね、咬まれると。犬が媒介すると」と、石塚。

狂犬病が撲滅されていないエリアに行く時には、事前の狂犬病ワクチンの接種(曝露前接種)、そしてむやみに犬やネコなどの野生動物に近づかないことが重要です。
(minto)
 
石塚元章 ニュースマン!!
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2020年05月23日07時34分~抜粋

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