石塚元章 ニュースマン!!

商業捕鯨が31年ぶりに再開、なぜ今クジラを捕るの?

今週起こったニュースをわかりやすく解説する『石塚元章 ニュースマン!!』。
7月6日の放送では「7月から日本が商業捕鯨を31年ぶりに再開」という話題を取り上げ、CBC論説室の石塚元章が解説しました。

この再開を受けて4日には北海道の市場で取引が行われましたが、調査捕鯨があったため、31年間クジラの肉が全くなかったわけではありません。今後、クジラの肉を目にする機会は増えるのでしょうか。

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まずは、このニュースに関して、あるリスナーからの意見を紹介しました。

「あらかじめ申し上げておきますが、私は捕鯨に賛成でも反対でもありません。クジラの肉も好きでも嫌いでもありません。
日本の調査捕鯨再開に関連して、鯨肉の消費量を増やすために学校給食に利用すれば良いという声が聞かれます。これは学校を愚弄するものだと考えています。

安易な解決策で厄介事を教育現場に押し付けることが教師の勤務状況を圧迫して、こどもの健全な成長を阻んできたんじゃないかと考えます。捕鯨の根拠もこどもの教育も、科学的な知見に基づいて欲しいです」(Aさん)

30年以上も商業捕鯨はされず、調査捕鯨でも水揚げ量は少なかったため、25歳以下の若い方は鯨肉の味自体を知らないかもしれません。
 

日本が脱退したIWCとは?

今回再開したのは、日本がIWC(国際捕鯨委員会)から脱退したためですが、まずはこのIWCについて、石塚が解説しました。

IWCは1948年に設立されましたが、当初は「クジラを今後も永続的に捕り続けるにはどうすれば良いか?」というのが目的だったそうです。

それは当時、アメリカやヨーロッパもクジラを捕っていたからですが、油を鯨から取らなくても石油でまかなえるようになり、次第にニーズが減ってくるようになって、IWCの風向きが変わっていきます。

その後「保護しながら捕る量を減らす」という目的から、クジラを捕る国と捕らない国が争う場に変わっていったのだそうです。

これまでの日本の立場としては、「商業目的で捕鯨はしないが、将来、また捕鯨を再開するのにあたって、現在どれぐらいのクジラがいて、どうやったら増やすことができるのか調べるために調査捕鯨を行う」というスタンスでした。

そして今回、IWCから脱退することでIWCのルールに縛られる必要がないため、商業捕鯨を再開したということです。

ただし、日本もどこでもなんでも捕るとは宣言しておらず、日本の排他的経済水域に限定した範囲で、現時点では捕っても絶滅の危機がないと思われる種類のクジラに限定して捕っているのだそうです。
 

商業捕鯨再開のメリットはない?

ただ、今回の商業捕鯨再開は、多くの国民から強い要望が出ていたわけではありませんのでニーズが高いとはあまり言えません。果たして鯨肉は売れるのでしょうか。

石塚「感情論で『なんだ、外国が禁止しやがって』と思って復活に走った人もいると思うんですが、現実論として採算に合うのか、需要があるんですかと。
確かに1960年代だと牛肉や豚肉が高かったので、それに補完する資源だったんですけど、その部分はなくなってきてる。
あとは国際社会との関係で、『みんなで話し合おうって言ってたのに、なんで抜けちゃうの?』という視点に抗うだけのメリットが採算や需要であるのかと」

現状ではあまり需要が増えるとも思えないですし、需要が増えなければ採算を取るのも難しい。そうなると、ますます外国に説明する理由がないということになります。

果たして商業捕鯨を再開する意味はあったのか、その答えは後に出るかもしれません。
(岡本)
 
石塚元章 ニュースマン!!
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2019年07月06日07時20分~抜粋

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