石塚元章 ニュースマン!!

鳥羽水族館の名物学芸員が教える、メガマウスや海の生き物

知恵と勇気で今世紀を生き抜く賢者たちを招き、次の世代を占うコーナー「21世紀の賢者たち」。

6/3の賢者は、鳥羽水族館の名物学芸員、杉本幹(すぎもと・みき)さんがスタジオに登場。
杉本さんは独自の撮影技術やユニークな発想で、人気水族館の仕掛け人として東奔西走。先日もあの、口がとてつもなくでっかいサメのおかげで、全国から取材が殺到。

そんな杉本さんに、CBC論説室長の石塚元章が海の生き物の楽しい話を伺います。

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白いワニが襲ってくるよ~?


この番組前半の天気予報で、気象協会の女性が「鳥羽水族館の『シロワニ』が好きです」と話していました。早速、シロワニについて杉本さんに尋ねてみます。

まず「ワニ」と言っても、アリゲーターやクロコダイルではありません。サメです。
昔話の『因幡の白兎』にも、ワニと呼ばれるサメが登場します。ワニとは、サメの別称なのです。

「体は大きくて3m近くありますが、白いわけじゃないんです。怖い顔をしていますが、性格はおとなしく人間は襲いません」

白くもなく、ワニでもなく、おとなしいのにコワモテ。誤解されやすさのカタマリですね。

メガマウスってネズミ?


様々な質問に答えて頂きました。

【質問】「先日、全国的に話題となったサメ『メガマウス』って何者?」

メガマウス。ミニーマウスの進化版じゃないですよ。巨大な口のサメです。
三重県尾鷲市沖で、漁船の網に引っ掛かっているのが発見されました。体長は約5m。その後再び海へ放流されたということです。

深海に棲むサメで、発見されたことがあまりなく、日本では20例ほど。
しかも今回は生きたまま捕まったので、非常に珍しいことだといいます。

普段は深海200m辺りにいるのが、夜間では30mや20mくらいまで上がってくるそうです。そこをたまたま網にかかってしまったようです。

ちなみに「メガマウスの出現は大地震の予兆だ」という噂があります。
ですが、元々日本は地震の多い国。頻繁に起こっている中で発見されるタイミングが合えば、そのように感じてしまうだけなのではと、杉本さんは推測します。
生態がよく分かってない魚なので、全然関係ないとも言えないが、科学的な根拠はないということです。

いい質問ですね


【質問】「サメとイルカ。魚類と哺乳類という違いは分かるんですけど、尾びれの向きもタテとヨコで違いますよね。あれってどっちが速く泳げるんですか?」

確かに、大抵の魚は尾びれが水面に対してタテ(垂直)。イルカやクジラ類はヨコ(水平)になっています。
いいところに気が付いたと感心する杉本さん。魚と違ってイルカやクジラは呼吸のために水面に上がらなければなりません。
その際、尾びれが水平に付いてた方が、振った時に水を押し下げて、上昇しやすいのです。いわゆるドルフィンキックですね。だからああいう形になったのだと言われています。

スピードについては、例えば大きなサメと、イルカの仲間であるシャチとでは、シャチが圧倒的に速い。
しかしこれは、尾びれの向きとかの問題ではなく、筋力などの問題が大きいので、種類によって違うそうです。一概にどっちが速いとは言い切れないということです。

【質問】「梅雨の時期に元気になる海の生き物は?」

「今は『エイ』が川で見られます。鮭のように卵を産みに川を上がってくるのではと言われていますが、まだハッキリとは分かっていません。橋の上からだとよく見えます。多い時は一度に5匹見たことも」と教えてくれた杉本さん。

ゲイラカイトが飛んでいるような感じでしょうか。これはぜひ見てみたいものです。

赤ちゃんがもうすぐ見られます


【質問】「鳥羽水族館で今一番嬉しい話題は?」

「ペンギンとスナメリの赤ちゃんが誕生したことですね」と話す杉本さん。
ペンギンは体長15cm、体重100gちょっとと小さいので、今はまだ一般には見られません。1、2ヶ月くらいで親と一緒にいる姿が見られるそうです。
ただし、3ヶ月で親と同じくらいになってしまうので、タイミングに気を付けましょう。

一方、スナメリは親が育児放棄してしまったそうで、今は人工飼育しているといいます。
24時間体制で、90分に1回授乳というハードスケジュール。
「世界初の飼育下でのスナメリ繁殖」に成功した実績のある鳥羽水族館ですから、きっと私たちの前にかわいい赤ちゃんを披露してくれることでしょう。

タコの頭は、頭ではありません


最後に、タコ(ゲイラカイトじゃないですよ)の捕まえ方について、ご教示を賜りました。

「素手で捕まえる場合、コツがあります。吸盤で吸い付かれるならまだいいんですが、口の鋭い部分、俗にいう“カラストンビ”で噛まれることがあるんですね。そうならないように、親指と人差し指でOKマークを作るようにして、タコの頭にある、目のすぐ下の部分をグッと掴む」

ここで出てきた「タコの頭」とは、どこかお分かりですか?あの、マンガでよくあるハチマキをしてる部分じゃないですよ。あそこはタコの「胴」なんです。タコの体は上から「胴」「頭」「足(腕)」なんです。だからあれはハチマキではなく腹巻と呼ぶべきなんです。

このように神秘的な海の生き物と、鳥羽水族館で出会ってみてはいかがでしょうか。
(岡戸孝宏)
石塚元章 ニュースマン!!
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2017年06月03日08時10分~抜粋

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