2017年8月26日(土)

劣化が心配!美術品公開の規制緩和に賛否両論

多田しげおの気分爽快!! / ニュース

8月24日、番組では「文化庁が国宝や重要文化財の公開を『年間2回以内で延べ60日以内』とした制限を来春にも緩和する方針を固めた」という話題を取りあげました。

美術品や工芸品の劣化を避けるために設けられた規制ですが、規制緩和は日本への観光を促進させたい国の思惑がありそうです。

公開日数を増やすことで問題となりそうな美術品の劣化について、徳川美術館(名古屋市)の学芸員・原史彦さんに、パーソナリティの多田しげおが伺いました。

なぜ美術品は劣化する?

まず多田が「学芸員さんの間では、美術品や工芸品は劣化していく物だという意識はかなり強いですか?」と尋ねました。

原さんは劣化の速度をできるだけ遅くするために、「紙や染色の物の場合は特にぜい弱なため、実際には60日と言わず、2週間や1ヶ月で展示替えをします」と答えました。

ここで、劣化の原因としてまず挙げられるのが、紫外線や赤外線などの光、空気中にある化学物質や酸素、湿気といった科学的要因です。

美術館によって部屋が薄暗くなっているのは、鑑賞しに来た人にとっては見づらいのですが、光のダメージを減らすためということもあります。
部屋は暗いが、美術品にスポットライトを当てている演出について、美術を扱う方にしてみれば、本当は辞めて欲しいという思いがあるそうです。

その他の原因として、運搬や触ったことによる事故といった人的要因が考えられます。
最近、アメリカで自撮りをしようとしたらバランスを崩して転倒し、美術品を壊してしまったというニュースもありました。
公開する日数が長ければ長い程、劣化が進んでいくということになります。

すべての物は劣化する

多田が「では、劣化しにくいようにする対策にはどのようなものがありますか?」と尋ねます。

原さんは「公開の日数制限や、温度・湿度が急激に変化しないような環境を保つこと」と答えました。

さらに「普段はどのようにしまっていますか?」と伺ったところ、「収蔵庫の中にしまい、作品は収納箱に入れており、照明は暗く、温度・湿度を一定に保っています」と答えられました。

では、常設展示の場合は大丈夫なのでしょうか。

常設と言っても、ずっと同じ作品を置き続けるのではなく、多くの美術館では作品の展示替えをしています。
さらに博物館によっては強い物(石像や金属など)は出しっぱなしにしている場合もありますが、これらは劣化しないのではなく、「劣化の速度が遅い」ので、すべての物は劣化するものなのです。

展示替えは、いろんな作品を見せることと、展示の劣化を遅くするという両方の意味があります。

奈良や京都のお寺では、仏像などを『何年かに一度だけ公開』と銘打って展示していますが、これについて原さんは、「信仰上の流儀もあるでしょうが、劣化を防ぐ目的もあります」と答えました。

別に公開をもったいぶっているというわけではなかったようです。

これまでは、人の目に触れずに美術品をしまっておくのはもったいないという印象はありましたが、規制を緩和したとしても、作品の丈夫さを考えた上で展示期間を考慮しなければいけなせんね。
(岡本)

アーカイブス

同じカテゴリー

|
facebook twitter hatebu line