2017年6月5日(月)

どうしても日本企業から残業がなくならない理由とは?

北野誠のズバリサタデー / ニュース

6月1日、月に160時間を超える残業をしていた新潟市民病院の研修医が自殺した件に対し、新潟労働基準監督署が労災と認定しました。
同じく1日、従業員に違法な長時間労働を行わせていたとして、大阪簡易裁判所が飲食店運営会社に対し、罰金50万円の支払いを命じました。

過労死が社会問題化する中、今回は『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社新書)の著者で、千葉商科大学国際教養学部専任講師の常見洋平さんに残業がなくならない理由について、北野誠が尋ねます。

終身雇用が残業を増やしている

まず北野誠が、「自分が小さい頃から日本では残業問題が言われてましたが」と前置きし、なぜ日本は残業が多いのかを尋ねます。

常見さんは「よくメディアでは会議が長い、ダラダラ仕事をしているからとよく報じていますが、根本的な問題は仕事の量が多いからです」と答えます。

これは政府の調査でも明らかであり、仕事の絶対量が多く突発的に発生することが多いためといいます。
個人は仕事を掛け持ちしており、仕事の内容がどんどん変わっていくことが背景にあるそうです。
人がマルチに働け、会社内で柔軟に異動できることがメリットなのですが、仕事の範囲が無限に広がってしまうのがデメリットであり、品質過剰により仕事が増えてしまっています。

北野が「残業代がないと暮らしていけない人も多い」と、残業が減ることのデメリットについて聞きます。

これについて常見さんは、最低賃金は上がっているが、そもそも給料を上げるべきと主張します。

欧米は景気が悪くなると人を切り、業績が良くなると人を雇用するという柔軟性がありますが、日本企業は終身雇用が前提であり、なかなか人を切りにくい状況にあります。
そこで、忙しい時は残業手当を増やして対応してもらい、忙しくない時は残業時間やボーナスをを減らすことで、終身雇用が保証できるのです。
この終身雇用が日本企業の良い点ではあるのですが、企業に尽くさなければならず、モーレツに働いてしまう悪い理由にもなっています。

常見さんは残業が多いことについて、「勤勉な日本人の国民性に求めてはダメ」と言い、会社が共同体化していたり、長期雇用が前提となっている労働環境が原因とまとめました。

改革のヒントはトヨタにあり!

常見さんの著書『なぜ、残業はなくならないのか』には、「働き方改革のヒントは、名古屋が誇る世界企業トヨタにあり」と書かれています。これはなぜなのでしょうか。

常見さんがトヨタとリクルートの合弁会社に勤めていた時に経験したのが、徹底した効率化です。
トヨタは徹底した現場管理や効率化、儲かる工場にするノウハウに長けており、それを日本全体に広げていくべきと主張します。
効率化最優先というイメージが強いのですが、トヨタは効率良くだけではなく、良い物を作ることや、儲かるものを作ることを目標にしており、儲かる工場にすると給料が上がり、楽しく生活できると言う考えに基づいています。

15年前、トヨタは会議室に「この会議何万円?」というポスターを貼っていました。
給料と会議時間からコストを割り出し、コストをかけるだけの意味のある会議をしているかという意識付けができます。
また、事務用品の保管場所にもボールペンなどの原価が書かれており、コスト意識を高めることができます。

トヨタは業績が良い時でも常に危機感を感じており、部長職のグリーン車移動禁止などコストカットを常に考えていました。

まず自ら改善策を考える!

では、今後労働に対する考え方を変えるには、どうすれば良いのでしょうか。

常見さんは「トップの意識改革に頼るだけでは、言いっぱなしで終わってしまう。個人それぞれが改善する意識を持つことが大事だ」と語ります。
一方で「国や経団連・業界団体などは、いかに儲かる国にするかを考える必要がある」と主張します。

生産性が低いのは従業員が怠けているからではなく、儲けることをしていないことが主な原因で、生産性が高い国は石油などの資源が豊富だったり、金融資産がある国だったりします。

人々は今後仕事一辺倒というわけにはいかず、出産や育児、介護で忙しくなっていくため、仕事と生活の両立が必要と考えられます。

最後に常見さんは「最近は労働環境についてこだわる新卒・中途が増えてきている。そのため、従業員から改善策を発信し、上に意見を突き上げるボトムアップが必要になる」とまとめました。
(岡本)

アーカイブス

同じカテゴリー

|
facebook twitter hatebu line