2017年4月21日(金)

トルコの国民投票の結果でどう変わる?

多田しげおの気分爽快!! / ニュース

先日トルコでは憲法改正を問う国民投票が行われました。改正賛成が全体の51%少々と、反対票を上回り、トルコは憲法を改正することになりました。
この結果、大統領の権限がとても強くなります。今の大統領はエルドアンです。トルコの大統領の権限が強くなるとは具体的にどうなることなのでしょうか。

CBC論説室長の石塚元章が解説します。

大統領の権力が強まる

今トルコは日本と同じ議員内閣制です。国会議員を選んで、その中からまたトップを選んで内閣を作っていくという制度です。今は首相もいて、大統領もいます。大統領はどちらかというと、象徴的な役目です。

それが、2019年11月、次の選挙から、大統領の権限を強め、首相というポストをなくします。

「当然、エルドアンは選挙戦に出て自分が勝つつもりですね」と多田。

具体的には、閣僚の人事、国会の解散権、司法に関する人事権とか、そういったものを大統領が全部もつことになります。
ただ、世界の大統領はだいたいそうです。アメリカも韓国も、このくらいの権限を持っています。

トルコの問題点

トルコの場合なにが問題かというと、今まで首相がいて、ちゃんとやっていたのに、大統領に権力を集めようとしていること。
二つ目は、アメリカの大統領は権限をすごく持っていますが、万一暴走したときに止めるシステムもあります。ところが、トルコにはそれがないのです。

もうひとつのポイントは、長期任期ができるようにしていることです。
大統領は5年ずつの二期まで、つまり10年できます。
エルドアンはすでに大統領ですから、本当はもうカウントが始まっていてもいいのですが、「次の選挙から」となっています。
今の大統領の任期に加えて、当選すれば2019年から10年間できるようになります。
実は、エルドアンは2003年から首相をやっているので、うまくいくと26年間ずっと権力を握り続けるのです。

「その間、どんどん自分に権力を集中して、しかも、歯止めのシステムがない」と、ため息まじりの多田。

独裁制は諸刃の剣

独裁制が強くなった場合、彼がどう運営するかにかかっています。
これは諸刃で、悪くない政治家で、安定していいことをやってくれたら、悪くないかもしれない。ところが、強権発動して反対派を抑えこむとなると、悪い方になってしまう。

「歴史的に、すごい政治家が現れて、権力を持って、どんどん民主化を進めていく。が、気がつくと単なる独裁政権になってるという例は世界各国たくさんありますね」と、多田は暗に懸念します。

EUに入りたかったトルコ

エルドアンが首相になってからトルコは経済発展して、とても素晴らしいリーダーとも言えますが、一方で自分に権力を集中させて、独裁政権になりつつあります。

「この人はイスラムの考え方の人ですね。トルコはずっとEUに入りたいと言って、なかなか入れてもらえなかった。ヨーロッパはエルドアン率いるトルコにますます距離を置くのでは?」と疑問をぶつける多田。

近代トルコになってからは、いかにヨーロッパに近づくかがトルコの至上命題でした。
ほぼ国民イスラム教徒ですが、それはちょっと押さえましょうよ、ということでやってきて、ヨーロッパはそれを認めつつありました。

変わってきたヨーロッパとの関係

ところが、実は地方の貧しいイスラム教徒たちの不満が底辺にあって、エルドアンはそれをうまく利用しました。「僕はあなたの味方だからね」と。

そういう人たちがエルドアンの支持者ですから、ヨーロッパとの関係が変わってきてしまいます。エルドアンはヨーロッパの悪口を言いまくるので、ヨーロッパはちょっと危機感を抱いています。

一方、ヨーロッパのジレンマもあります。ロシア、シリアという付き合い方を気を遣う国との間にトルコがいてくれます。できればヨーロッパはトルコに「仲間でいてね」と言いたいのです。

「トルコはこれからヨーロッパが混乱していくかもしれない、ひとつの要因になるかもしれませんね」と多田。

日本との関係は?

日本との関係は、現在のところ親密です。それが急に変わるということはないと思います。
安倍首相もどちらかというと、エルドアンにシンパシーがある。何回も一緒に会談しているし、経済的な結びつきも強く、歴史的にも深い関係があります。

ただ、ヨーロッパとトルコの間に何か起これば、日本はどちらにどう肩入れするか、選択を迫られる可能性はあります。トルコは絶対に目が離せない国ですね。

トルコというと、すぐ思い出すのはケバブでしたが(反省)、これからはエルドアン大統領の言動にも注目ですね。
(みず)

アーカイブス

同じカテゴリー

|
facebook twitter hatebu line