2017年9月30日(土)

グルメンピック詐欺事件の裁判は、まだほんの序章にすぎない

北野誠のズバリ / ニュース

木曜日の『北野誠のズバリ』では、大川興業の裁判傍聴芸人で、ニュースウォッチャーの阿曽山大噴火による、気になるニュース解説や裁判傍聴レポートをお送りしています。

9/28のレポートでは、前日9/27の水曜日に東京地裁で行われた、大須健弘(おおす たけひろ)被告人の初公判についてお伝えします。
これはニュースや朝刊で大きく扱われていたので、ご存じの方も多いでしょう。
そう、「グルメンピック詐欺事件」関連の人物で
す。

グルメンピック事件とは?

以下は、逮捕された当時のニュース記事からの抜粋です。

「架空の食イベント『グルメンピック』の出店業詐欺事件で、飲食店から現金を騙し取ったとして、警視庁は6月、自称コンサルタント業・田邉智晃容疑者(42歳)と、イベントを企画した大東物産の前代表・大須健弘容疑者(41歳)ら計5人を逮捕した」

報道によると、容疑者らは昨年末から今年初めにかけて「グルメイベントの出店料」の名目で、全国約500店舗の飲食店から合計1億3600万円も集めました。
しかしその後突然イベントの中止を発表し、出店料の返金もされないままだったということです。

その5人の容疑者のうち、1人目の初公判がようやく行われたのでした。

「超注目の事件なんですが、なぜか傍聴券の抽選はなく、自由に入れた」という阿曽山大噴火。
実際、司法記者も合わせて30人ほどしかいなかったそうです。
注目度は大きくてもこういうこともあるんですね。

被告人は無罪を主張

起訴された内容は、「去年の12月21日から今年の1月16日の間に、飲食店関係者6人に『グルメンピック出店料』名目で、合計151万円を入金させた」というもの。

検察官が起訴状を読み上げた後、罪状認否に入るのですが、裁判官が「被告人。起訴状に何か間違いはありますか?」と聞いたところ、大須被告人は事前に用意していた紙を取り出し、それを朗読し始めたのだそうです。

「まずですが、ご迷惑をおかけした出店者の方々に本当に申し訳ないと思っています。すぐには難しいですが、少しずつ弁済したいです」

認否の前に謝罪から始まるという異例のスタイル。
そして、こう続けます。
「出店料名目で、お金を振り込んでもらったことは事実で間違いありません。しかし、イベント開催を信じて、そのためにやっていました。イベントを開催しないで、出店料を騙し取ろうと考えたことはありません」

詐欺をするつもりは無かったと、被告人は無罪を主張。弁護人も後に続きます。
「イベント準備に大須被告人が関わっていたのは間違いありませんが、あくまでもイベントは開催すると思っていましたし、誰とも『騙し取ろう』なんていう話し合いはしていません。無罪です」

被告人同士の出会い

それから、検察官の冒頭陳述に入ります。

「大須被告人は高校中退後、一昨年の7月まで配管の仕事などをしていた」というプロフィールが紹介された後、一緒に逮捕された4人のうち、重要な2人と被告人との関係性がここで明らかになります。

まずは、主犯格と言われている田邉智晃被告人。彼と大須被告人は、中学・高校の同級生で、家族ぐるみの付き合いをするくらい親しい仲だったといいます。ちなみに田邉被告人は学生時代、不良グループの中心人物で、悪いヤツを集めるのは得意だったそう。

更に田邉被告人は大須被告人に対して、「銀行から金を借りてから会社を倒産させれば、返さなくてもいいからその分儲かる。過去にそういう計画倒産をやったことがある」と話をしていたとか。

そしてもう1人が、矢野千城被告人。こちらは中学時代の同級生です。彼は「ワークリバティ」という会社を経営していて、去年、食のイベントをやったものの大赤字を出してしまい、お金に困っていたといいます。

今回グルメンピックの開催を企画したのが、この田邉、大須、矢野各被告人なのでした。

バイト料だけならホワイト企業

冒頭陳述は続きます。

田邉被告人が、名前だけはあって実際には動いていない「大東物産」の会社登記を100万円で買ってきました。
そして大須被告人が社長に就任します。雇われ社長ですね。
更に、池袋にあるマンションの一室を借りて、そこでテレフォンアポインターを雇い、全国の飲食店に営業の電話をかけまくったのです。
「イベントをやるんですけれども、出店料40万円のところを、20万円でいいですよ」というようにお得感をアピールして。

この契約が成立すると、テレアポをやった人には、飲食店1件につき数万円~20万円が支給されたとか。とんでもなくおいしいバイトですね。大須被告人もこれで、540万円の歩合を受け取っていたようです。

予定していたイベント会場は、東京で最大級の広さを誇る味の素スタジアム。去年の7月20日に仮予約をし、同12月13日にはちゃんと270万円払っていたそうです。

でも、イベントをやるには消防署や保健所にいろんな届出をしなきゃいけないのに、全くしていない。
他にも、テントや機材リースの会社と連絡しなきゃいけないのに、何の準備もしていない。

そんな現状と、テレアポのおいしすぎる報酬に疑いを持ち始めた大須被告人は、去年の11月の段階で「これはイベントは開催されないな」と認識。
このまま社長にいたらヤバいと思い、「100万円あげるから誰か社長を代わってくれないか」と模索するようになります。

難しい裁判になりそう

一方、グルメンピックの出店料を払った飲食店の人たちが、年末辺りからインターネット上で「これは詐欺なんじゃないか?」とざわつくようになりました。

ネットを検索すると、「あれは詐欺です」という書き込みが、誰かの疑問に誰かが答えるサイト「Yahoo!知恵袋」にあったため、それを削除する工作を大須被告人らみんなでやっていたらしいです。

念を押しますが、これらは検察官の冒頭陳述で語られた、事件の説明。つまり、検察官側から見た、被告人は有罪であるとする主観的な説明です。

これに対し、なんと裁判官が「もっと具体的な証拠はないんですか?」と言い出したそうです。
「その辺の立証が必要ならば、追加で証拠を出したいと思います」と答える検察官。

「裁判官も物足りなさを感じるくらい、証拠がまだ集まっていない裁判」だと、阿曽山大噴火は語ります。
これはもう、主犯格と思われる田邉被告人の公判や、他の被告人の公判とも照らし合わせていかなきゃいけない、難しい裁判になりそうです。

「これはちょっと、今後も追いかけてもらいたいですね」と言うパーソナリティーの北野誠に、「判決までには1年以上かかりますよ(汗)」とややひるむ阿曽山大噴火。

「かかるけど頑張って追いかけて(笑)」と長期密着オファーを出す、プロフェッショナルで情熱大陸的な北野でした。
(岡戸孝宏)

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