皆さんは最近、ランニングシューズやスニーカーを買いましたか?
今、日本の「アシックス」が海外でも大人気となり、
売上高が初めて1兆円を突破する勢いで業績を伸ばしています。
しかし不思議なことに、そんな絶好調の裏でアシックスの株価が一時期大きく下落しました。
そして、その事態を受けてアシックスが打ち出したのが、
「700億円規模の自社株買い」という大きな決断です。
なぜ好業績なのに株価が下がるのでしょうか?
そして「自社株買い」にはどんな意味があるのでしょうか?
今回は株式投資の少し深い仕組みについて分かりやすく解説します
マーケットがかなり大きい!「ランニングシューズ」市場
1. 業績絶好調なのに株価が落ちる「期待のギャップ」
アシックスは2026年12月期の業績予想を上方修正し、
売上・利益ともに最高益を更新し続けています。
普通に考えれば「すごい!株を買おう!」となって株価が上がりそうなものですが、
現実は逆に下落してしまいました。
一体なぜなのか?
これには「株式市場は期待で動く」という特徴が関係しています。
例えば、大谷翔平選手をイメージしてみてください。
大谷選手が「ホームラン40本、10勝」という素晴らしい成績を収めたとします。普通なら大絶賛される成果ですが、もし周りのファンが「50本塁打、15勝」を期待していたとしたら、「期待していたほどではなかったな」と勝手にがっかりされてしまうことがあります。
株式市場でも同じことが起きています。「アシックスならもっとすごい数字を出すはずだ」と市場の期待(ハードル)が高まりすぎていたため、「発表された数字は凄かったけれど、期待通り(想定内)だった」として株が売られてしまったのです。
2. 700億円の自社株買い+「消却」の凄さとは?
このような株価の下落に対して、アシックスの経営陣は「自社の株が今の市場で安く評価されすぎている」と判断し、700億円(発行済み株式の約3%弱)もの自社株買いを発表しました。
自社株買いを行うと、以下のような仕組みで株価にプラスの影響を与えます:
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希少価値が高まる 市場に出回っている株を会社が買い取るため、世の中流通する株の数が減ります。モノと同じで、数が少なくなると1株あたりの価値(希少価値)が高まります。
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「消却(しょうきゃく)」による強いメッセージ アシックスは買い取った自社株をただ保管するのではなく、「消却(二度と市場に出さないように消すこと)」すると宣言しました。これにより、「後からまた株を市場に売って利益を得ようとしているわけではない」ということが証明され、投資家に強い安心感を与えます。
つまり、会社自らが「うちの株の価値はこんなに低くない!」と胸を張って買い戻すことで、株価を支えようとしているのです。
ただし、「700億円」を株式投資に費やすことは、株主たちには不信感を与える可能性もあります。
3. 【上級編】「配当」と「自社株買い」は何が違う?
企業が利益を株主に還元する方法には、大きく分けて「配当金を払う」ことと「自社株買いをする」ことの2つがあります。実は、投資家にとってこの2つには大きな違いがあります。
| 還元方法 | 投資家にとっての特徴 | 税金のタイミング |
| 配当金 | 現金が直接手元に入ってくる |
受け取った瞬間に約2割の税金がかかる |
| 自社株買い |
株価の上昇(含み益)が期待できる |
株を売却して利益を確定するまで税金はかからない |
長期で資産を増やしたい投資家にとっては、その場で税金が引かれない「自社株買い」の方が、効率よく資産を増やせる(複利効果が得られる)ため好まれる傾向があります。
一方で、「今すぐ生活費や年金の足しに現金が欲しい」というシニア層などの投資家からは、配当金の方が喜ばれることもあります。このように、自分の年齢や目的に合わせて企業の還元姿勢をチェックするのも株式投資の面白いポイントです。
森永大学 政治経済学部
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本記事の内容は、2026年10月2日配信のポッドキャストの内容に基づいています。
