森永大学 政治経済学部

【W杯の経済学】48カ国拡大の光と影。ブラジルでは逆に経済がマイナスになる!?

世界中が熱狂するサッカーのワールドカップ!
日本は残念ながら決勝トーナメント1試合目で敗退となりましたが、
日本選手たちの活躍に胸が躍った方も多いことでしょう。

そんな世界中を熱狂させるワールドカップですが、
今回は「出場国が48カ国、全104試合」というの規模に拡大されました。
実はこの巨大化の裏には、スポーツの枠を超えた「緻密な経済のロジック」が隠されています。
今回はワールドカップを経済の視点から紐解きます。

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スポーツの祭典を「経済学」の視点から徹底解剖!

1. なぜFIFAは大会を「48カ国」に肥大化させたのか?

試合数が増えてお祭り騒ぎが長引くのはファンにとっては嬉しいことですが、
FIFA(国際サッカー連盟)がここまで大会を大きくした理由は、
一言で言えば「ビジネス(放映権・スポンサー収入)の最大化」です。
 

出場国が増えれば、それだけ多くの国でW杯が「自分事」になります。
FIFAが狙っているのは、まだサッカー熱が伸び代のある巨大市場や、
出場枠が増えることで本戦に出られる可能性が高まる国々です。

国が増えれば、試合数が増える。
試合数が増えれば、テレビの放映権料やスポンサー収入、
チケットの総売上も爆発的に増える。

つまり、参加国全員がハッピーになるような顔をしながら、
実は「FIFAが最も儲かる仕組み」へと、大会自体が肥大化しているのです。
 

2. 天井知らずの「チケット代高騰」とダイナミック・プライシング

今回のW杯で大きな話題となっているのが、「チケット代の高騰」。
今回はホテルや航空券と同じように、需要に応じて価格が変動する「変動価格制(ダイナミック・プライシング)」が導入されています。つまり、人気の試合や混雑する時期ほど、チケット代が跳ね上がる仕組みです。
 

その結果、決勝戦ともなれば、一番安い席でも約65万円、
最高値の席になるとなんと135万円という、
一般人には手の届かないような価格にまで高騰しています。

これには「スポーツを金儲けの道具にしすぎだ」「ファンを侮辱している」といった批判の声も世界中で上がっています。

さらに、この放映権料の高騰は日本だけでなく世界的な問題になっており、
東南アジアのタイなどでは、
放映権の交渉がまとまらずに放送が危ぶまれるといった事態も起きています。
 

3. 3カ国共同開催の裏にある「莫大なコスト」

今回はアメリカ、カナダ、メキシコの3カ国による共同開催となっています。
「なぜ1つの国でやらないの?」と思うかもしれませんが、
これも大会が巨大化しすぎた弊害です。


48カ国が参加し、104試合を行うとなると、
1つの国だけでそれだけの観客を収容できるスタジアム(箱)を用意し、
インフラ(道路や交通機関)を整備し、
さらに何万人もの安全を守る警備コストを負担するのは、
もはや不可能なレベルに達しているのです。

そのため、複数の国で分散して開催することで、
「莫大なコストとリスクを分け合う」しか、
今のW杯を運営する方法がなくなっているのが実情です。

 

4. 【衝撃データ】ブラジルではW杯があると「経済がマイナス」になる!?

一般的に、W杯のような国際イベントは国にとって
「プラスの経済効果」があると考えられています。日本でも、朝5時の試合であるにもかかわらず27.2%という高視聴率を記録し、みんなで集まってパブリックビューイングをしたり、飲食店が賑わったりと、確実に経済への好影響があります。

しかし、世界には「W杯が開催されると、逆に経済がマイナスになる国」があります。
それが、サッカー王国
ブラジルです。

過去の経済データを見てみると、ブラジルではW杯の期間中、
なぜか外食や買い物などの「家庭の消費支出」が激減するという奇妙な現象が起きます。

理由は、ブラジル人のサッカー熱が凄すぎることにあります。
W杯が始まると、国中が仕事を放り出してサッカーに熱狂します。
仕事はお休み、買い物にも行かない、旅行にも行かない。
「みんなでテレビの前に集まってサッカーを見て終わり!」になってしまうため、
他の経済活動が完全にストップしてしまい、
国全体の経済効果としてはマイナスになってしまうのです。

 

森永大学 政治経済学部
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本記事の内容は、2026年6月26日配信のポッドキャストの内容に基づいています。


 

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