身近な疑問・質問・お悩みを解決する『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)の「ズバリ法律相談室」のコーナー。
3月12日の放送に寄せられたのは、「大家さんが合鍵を使って勝手に入室していた」という驚きの相談です。この行為は法的に問題ないのでしょうか?
オリンピア法律事務所の原武之弁護士が「無断入室の違法性」と「大家が取るべき正しい手続き」について解説しました。
部屋に見知らぬ靴が!
Aさんによると、昔、元配偶者と家を建てる間の仮住まいとして住んでいたアパートの大家は一風変わった人だったとのこと。
完成予定日は伝えていたものの、退去日をはっきり伝えていなかったため、完成が3か月後に迫ると、「いつ出ていくのか」と頻繁に聞いてくるようになり、面倒に感じていたそうです。
ある日、スーパーから帰宅したAさんが玄関のドアを開けると、玄関に見知らぬ靴が2足。なんと大家と、退去後に修繕を行なう業者が無断で部屋に入り、修繕箇所の打ち合わせをしていたのです。
「大家さんがあまりにも堂々としているし、びっくりしすぎて当時は何も言えませんでした」(Aさん)
20年以上前の話ではありますが、これは家宅不法侵入にあたらないのかと、Aさんは疑問に感じているそうです。
勝手に入室はNG
「いくら大家さんといえども勝手に入ったらダメですよね」という北野の質問に対し、原弁護士は「所有者というだけで、占有は借りた人になりますから、入れば住居不法侵入となります」と明言しました。
ただし、「正当な理由」がある場合は、例外的に入室が認められることもあるとのこと。例えば、火事や漏電の危険がある場合、借主が中で亡くなっているのではないかという心配がある場合、あるいは警察が来た時などです。
「周りに影響があったり、本人の健康とか生命に不安がある時、そういう時は例外的にいい」と原弁護士。それでも、事前に連絡を取り、事後には報告するのが筋だと説明しました。
昔の大家の感覚?
北野は「大家さんによっては、自分が建てたマンションとかアパートはいつまでも自分のもんやと思ってる方、結構多い」と指摘。
特に学生アパートなどでは、学生が帰省している間に大家が部屋を見に行くようなケースもあったといいます。
原弁護士によると、現在は標準的な契約約款に「緊急の場合には立ち入りします」といった条項が含まれていることが多いものの、それでも事前連絡は必要とのこと。
「一時期、賃料不払いが続いた人の部屋に勝手に入ったという事例で、裁判で負けています」と原弁護士。賃料不払いの場合でも、大家が勝手に入室するのは違法だと強調しました。
大家はどうすべき?
では、賃料不払いの場合、大家はどのような手続きを踏むべきなのでしょうか。
原弁護士によると、まずは支払いを求める通知を投函し、1ヶ月程度様子を見るのが一般的。それでも支払いがなく、2ヶ月が経過した場合は契約解除を通知し、裁判所に明け渡しを求める手続きを取るのが正しいとのことです。
大家の中には「3ヶ月滞納したら勝手に入って荷物を出す」という契約を結んでいるケースもあると北野が指摘しましたが、原弁護士は「行き過ぎなので、違法と言われてしまう。『荷物を捨てます』と契約書に書いてあっても、ちょっとやりすぎ」と説明しました。
無断入室による物品の紛失などの様々なトラブルも懸念されるため、大家は慎重に対応するべきだと締めくくりました。
(minto)
北野誠のズバリ
この記事をで聴く
2025年03月12日14時15分~抜粋