北野誠のズバリ

重度の小麦アレルギーと向き合うパティシエ「米粉スイーツ」で特別賞受賞

重度の小麦アレルギーを抱えながらもパティシエとしての道を極める「パティスリー シェ・カズ」オーナーシェフの石川和雅さんが先日、「第7回あいちサービス大賞」で特別賞を受賞しました。

2月26日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』「松岡亜矢子の地元に聞いちゃうぞ」のコーナーで、石川さんに詳しく話を伺いました。

[この番組の画像一覧を見る]

パティシエとして最大の試練

石川さんは、洋菓子業界で20年以上働くベテランのパティシエ。フランスでの修行経験があり、数々のコンテストで優秀な成績を収めてきた腕の確かな職人です。現在は故郷の岡崎市にお店を構えています。

しかし今から6年前、パティシエとしては致命的とも思える重度の小麦アレルギーを発症。それでも石川さんは仕事を諦めず、これまでの経験を活かして「グルテンフリースイーツ」の研究に力を注ぎました。

生菓子10種類、焼き菓子30種類、全てをグルテンフリーに作り変えたという根性の人です。

米粉スイーツで特別賞を受賞

「あいちサービス大賞」は愛知県内の先進的なサービスや模範となる事業者を表彰する制度で、今年で7回目。

エントリーした企業は、製本業、木材、ネジ、IT、そして洋菓子店など様々なジャンルから数十の応募があり、その中から5社が選ばれました。そのひとりが石川さんです。

受賞理由は、グルテンフリーのお菓子の製造に力を入れ、食物アレルギーへの認知度向上に貢献していることと、ご自身もアレルギーを持ちながら工夫してお仕事を続けていること。
また、小麦の代わりに「米粉」を使って様々なお菓子を作っている点も評価されました。

石川さんは「アレルギーの方以外にも、米農家さんの支援や国内の米消費拡大のためにも」という思いを込めて、米粉の絶品スイーツを開発しているとのことです。

地元の伝統米でスコーン開発

岡崎市の六ツ美地区には、大正天皇の大嘗祭に献上したお米を作っていた「悠紀斎田(ゆきさいでん)」に選ばれた田んぼがあります。この地区では地域おこしとして、かつて栽培されていた「万歳(まんざい)」という品種のお米の田植えと収穫イベントを開催しています。

この地区の方から、収穫したお米の米粉を使った商品開発の相談を持ちかけられた石川さんは「お米を使ったスコーン」を開発しました。

この「万歳」というお米は随分前に栽培が途絶えてしまった品種。農業総合試験場で保管されていた種もみを農家さんが譲り受け、それを育てて今回のスコーン作りに繋げたそうです。

スコーンはオレンジ風味とチョコレート風味の2種類。マルシェでの試験販売で50個限定販売し、即日完売するほどの好評ぶり。これを受けて、店舗での販売も検討中です。

食物アレルギーへの理解を深めたい

石川さんは小麦アレルギーについて、正しい知識を広めることの大切さを語っています。

実はいろいろな食品には小麦が含まれていますが、すべてが食べられないわけではないといいます。例えば醤油やお味噌も小麦を使っていますが、厚生労働省のホームページによれば、醸造段階で麹が小麦のタンパク質を分解するため、多くの場合は食べても大丈夫だそうです。

しかし「皆さん過剰に反応してしまい、『小麦不使用の商品じゃないと』と考える方も多い」と石川さん。「何が大丈夫で何がダメかわかれば選択肢も増えるし、食物アレルギーに関しての知識が一般に広まっていくのが僕としては一番助かる」と話しています。

知識が広げる選択肢

石川さんは「重度の小麦アレルギーのパティシエ」という注目されるポジションを活かし、「どういう活動をしているんだろう」「食物アレルギーとはそもそも何だろう」と紐づけて知識を得てもらいたいと考えているそうです。

新学期を前に「新しい仲間の中に食物アレルギーを持つ人がいるかもしれない」との思いを込め、厚生労働省や消費者庁のホームページで知識を得ることの重要性を強調。「選べる範囲を増やしていく意識が大切」とも語りました。

石川さんのお店「パティスリー シェ・カズ」は愛知県岡崎市の岩津天満宮のすぐ近くにあります。興味がある方はぜひ足を運んでみてください。
(minto)
 
北野誠のズバリ
この記事をで聴く

2025年02月26日14時39分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報

×