推しグッズや限定品などを買い占めて高額で売り飛ばす、いわゆる「転売ヤー」の横行で、本当に欲しい人に商品が行き渡らないということが長年問題になっています。
販売側でも対策はされてきているものの、なぜ転売ヤーはなくならないのでしょうか。
12月21日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、『転売ヤー 闇の経済学』(新潮新書)の著者でフリーライターの奥窪優木さんにお話を伺いました。
聞き手はパーソナリティの北野誠と加藤由香アナウンサーです。
転売ヤーの組織化
この本では転売ヤーの手口などが詳細に紹介されています。
そもそも転売ヤーの定義について、奥窪さんは「まず買い占め行為を行なって、動員力と機動力を投じて調達した商材を売る時には高い利ザヤを乗っけて売るという商売をしている人たちを転売ヤーと呼んでいます」と語りました。
例えば東京ディズニーランドの中でしか買えない限定商品の場合、1人1点までと購入個数の制限がかけられていますが、そこにグループで出かけてたくさん買い占めてしまうため、本当に欲しい一般客が買えなくなってしまう事態が発生しています。
転売は社会問題化しているため、販売側も購入個数制限や抽選制を取ったり、事前告知なしのゲリラ販売をするなどの対策は取っているものの、転売がなくなりません。
転売ヤー側は組織化され、情報をネットで早く仕入れ、SNSで何百人も一気に短時間で集めた人たちを販売会場に並べさせることで、販売側の対策をかいくぐっているのです。
ポケモンカード転売の手口
転売されやすい人気商品にポケモンカードがあり、レアな種類の物はかなりの高額で取引きされています。
奥窪さん「あれは宝くじと同じような仕組みになっていて、たくさん買えば買うほど当たるんですけど、たくさん買ったらそれだけコストがかかるわけじゃないですか。
宝くじでいうと当たったチケットだけ換金して、当たらなかった宝くじ券は返金できたら必ず儲かるじゃないですか。それをやってるのがポケモンカードの転売ヤーですね」
レアなカードかどうかは買って袋を開けてみないとわからないのですが、どのようにして見分けているのでしょうか?
奥窪さん「まず重さを測るんですね。レアカードっていうのは一般的なカードに比べてアルミとかが使われていますので、0.数mg重さが変わってくるんですね。
精巧なデジタルスケールを使いまして、比較的重いパックを抜くんですね。
それを今度は金属探知機をかけて両方に合致したのをレアカードが入っている確率が高いパックだということで開封するんですね。
開封して見込みどおりレアカードが出れば転売市場に流すわけですけど、レアカードが入っている確率が低いとみなされたパックは一般の正規の流通に戻すと。
もしくはクレーンゲームの景品として引き取ってくれる業者がいるんですけど、そういうところに流すと」
ハズレを引いたとしても、そこまで損をしない仕組みになっているため、さらに転売ヤーの餌食になっているようです。
転売はなくせないのか
この他にも百貨店の外商で買った高級なお酒を転売するなど、組織的な転売ヤーだけではなく、個人でも行なっているケースもあるようです。
転売をなくすために「転売されないぐらいたくさん商品を作れば良いのではないか」という意見に対し、「それは難しい」と奥窪さん。
奥窪さん「結局売る側の自由なんですけど、限定品というのはファンの心理としてはどうしても欲しいわけですよね。
他人が持ってない物を欲しいというのはファン心理としては理解できるんですけど、そこを突いてくるのが転売ヤーであって。
個数限定販売となると、転売ヤーにとってみたら絶対儲かると算段がつきますので狙われるんですよね。
転売ヤーに対して抜本的な対策が何もない現状の世の中で、限定品ビジネスをやるっていうのは、結構墓穴を掘ることになるのかなと。ファンを悲しませるっていう結果にしかならないんじゃないかなと私は思ってますね」
奥窪さんは転売ヤーを非難するだけでは問題は解決しないとして、やはり販売側が売り方を考えることと、買う側も転売ヤーから買わないことが大事とまとめました。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2024年12月21日10時29分~抜粋