北野誠のズバリ

射精後に空しい気持ちになるのはなぜ?

10月25日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』には、53歳男性リスナーからの「よく『性交の後、すべての動物はむなし』と言われますが、これは医学的に本当なのでしょうか?」との質問が寄せられました。

この問いに、心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生が回答します。

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射精の後の罪悪感はなぜ?

「男は性欲が高まってくると、常にいやらしいことばかり考えてしまい、しかも冷静な判断ができなくなります。しかし、射精した瞬間にまるで別の人間になったかのように人格が変わってしまいます。

例えば中高生の頃、受験勉強をしていてもムラムラして勉強が手につかなくなるのに、出してしまった直後には『オレは何をやっているんだ、こんなことをしていては合格なんかできない』など、ものすごい罪悪感や後悔の念に苛まれました。
射精の瞬間に男の頭の中では何が起こっているのでしょうか?」(Aさん・53歳男性)

吉田先生によれば、夜の生活は健康とか病気の予防にとても重要とのこと。
特に最近の医学研究により中高年、高齢者の健康にとって大事なことだとわかってきたそう。
「みなさんに興味を持っていただきたいテーマです」と話します。

ふたつの脳内ホルモン

今回の質問である、射精前後で考え方や人格が変わる原因には、ふたつの脳内ホルモンによるところが大きいそうです。

吉田「ひとつは射精の後ドーパミンが急激に減るからです。射精の場合、ドーパミンの影響で性的な快感が生じますけど、同時にドーパミンは脳の中で理性を生み出している前頭前野という部分をマヒさせる作用を持っています。

射精の後はドーパミンは瞬時に減ります。だから前頭前野のマヒがなくなって、理性が復活するから考え方や人格が元に戻るのです。

もうひとつのホルモンはプロラクチンといいます。これは射精の後急激に増えます。
射精の後、プロラクチンが増加して脳に作用するとネガティブな精神状態に切り替わって、無気力になる、不安感が高まる、罪悪感が生じやすくなります」

女性は満足感が高まる?

この現象、男性特有のものではなく、女性の場合も性的な絶頂感を得た後、ドーパミンが減って、プロラクチンが増えるそうです。

吉田「が、女性の場合プロラクチンが増加しても、無気力、不安感、罪悪感は生じにくい。むしろ、満足感、リラックス感が誘発されて、心がポジティブになる場合が多いです。

どうしてこういう差があるかというと、女性の場合、性行為の間にオキシトシンという愛情ホルモンが増えて、プロラクチンとオキシトシンとの相乗効果で性行為の相手との心の絆を深める作用が出ます。

原始時代までさかのぼると、男性は性行為をしただけでこどもが生まれてきますので、愛情が覚めても遺伝子は残せます。

一方、女性が遺伝子を残すにはその後、こどもを産み育てる段階で、相手の男性に協力させる必要があって、そのために心の絆を深めるしくみが脳内で発達したわけです」

急に冷静になる理由

こうした心理状態はヒト特有のものなのでしょうか?

吉田「ねずみ、羊、サルなどでも交尾の後プロラクチンが減るというデータが出ていまして、哺乳類に幅広く認められる性質だと推測されます。

そもそも人間も動物も性行為の後プロラクチンが増えないと困る事情があります。性行為しないと絶滅しますから、ドーパミンを大量に増やして快感を与えるわけです」

しかしその結果として、危険に備える判断能力が低下してしまうため、天敵に襲われるリスクが跳ね上がります。
だから性行為が終わった瞬間に、プロラクチンの増加によっって脳の状態を元に戻す必要があるのだそうです。

吉田「もうひとつ、性行為の快感を求めて何回もやると、身体に負担がかかって病気になるので、回復するまで性行為を休ませるためにプロラクチンで性欲を抑えています。こういう仕組みは人間も動物も同じです」

性行為中の突然死、男性は注意!

性行為の身体の負担については、突然死というリスクもあります。吉田先生によれば、最も多いのは心筋梗塞や不整脈などの心臓病だそうです。

吉田「だいたい血圧の上昇が原因で、圧倒的に男性が多いです。次が大動脈が裂ける大動脈解離。あと脳内出血や脳梗塞などの脳卒中。さらに肺の血管に血栓が詰まる肺塞栓症いわゆるエコノミークラス症候群。

行為中の突然死は82%から93%が男性で、残りが女性。男性の方が性的な興奮で血圧が上がりやすいというのが理由です。だから男性は気をつけてください」

突然死の対策法はあるのでしょうか?

吉田「性行為中の突然死の対策はたったひとつ。ドイツのフランクフルト大学の研究ですが、性行為中の突然死について検証すると、その時の相手は15%が浮気相手や愛人。62%がお金を払って売春をしてもらっている場合でした。

こういう不道徳な快楽を求める性交渉では特に血圧が上がりやすいです。残りの夫婦関係で突然死をした場合は、多くが心臓などに基礎疾患を持っていた人で、確率から言うと、夫婦間の性行為で突然死はほとんど起きないです。ハラハラドキドキが危ないです」

やはりスリルを求めるのは、身体への負担も大きいようですね。
(みず)
 
北野誠のズバリ
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2024年10月25日14時15分~抜粋

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